熟年パパの「健康リテラシー」が超重要なワケ 健康診断の数値を「見るだけ」では意味なし

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日本のがん検診受診率は、男性においては胃がん、肺がん、大腸がんは4割程度。女性においては、乳がん、子宮頸がん検診を含めた5つのがん検診の受診率は3〜4割台で、世界的に見ても最低レベルという調査結果も出ています(2013年「国民生活基礎調査」より)。

「特に前立腺がんや乳がんなどについては、『このフェーズでこの手術や治療を行えば5年生存率が90%以上になる』というエビデンスがあります。早期発見し、西洋医学のエビデンスに則った治療でレールに乗れば、確実に命は助かりますし、大腸がんや胃がんなども同様に死亡リスクを大きく下げることができるのです。私たち医師からすれば、『確実に生きられるレール』が目の前にあるときに、なぜ見送ってしまうのだろうと不思議に思う場面も時折あります」(飯島教授)

健康情報を自分に照らし合わせる

とはいえ、「早期発見が大事なのはわかるけれど、仕事が忙しくて」「検査の結果を見るのが怖い」といった人も少なくはないでしょう。飯島教授によれば、「市民の健康リテラシーは、一般的に4つの層に分けられる」そうです。

「まず、トップの層(第1層)にうっすらといるのが、健康リテラシーが高い集団、その中には『健康オタク』も入っているのでしょう。健康にかかわる情報を調べすぎたり、血圧が高いからと1日に何度も測ったりしてしまう。過敏に反応することがストレス状態を招くこともあるので、ほどほどにすべきだと思います。次の第2層は、『わかってはいるけど、できない』という集団で、全体の4割程度を占めています。情報収集もある程度していますが、行動につなげられません。さらに、第3層として『健康へのアンテナ感度が低い』集団が続き、最下層の第4層になると『自分の健康そのものに無関心』という集団がいますね」(飯島教授)

やはり多くの熟年パパは、「わかってはいるけど、できない」層にあたるのではないでしょうか。40代半ばの私自身、このお話を伺っている最中も耳が痛く、「わかる、わかります。でも、できなくて」と反省しきりでした。では、そんな私や熟年パパが健康リテラシーを高めるためには、どうすればいいのでしょうか。

「ポイントは、まず自分の健康に興味を持つことです。そして、健康にかかわる情報を意識的に収集し、それを今の自分自身に照らし合わせて考えることですね。たとえば、会社や自治体が行う毎年の健康診断は、浅く広い内容になっているので、一つひとつの臓器については、個別の深掘りされた検診を受けなければ異常も見えにくいものです。

それぞれの数値をしっかり見つめ、変化や異常があったとき、今後の自分のために、生活習慣をセルフコントロールしようと思えるか、さらに、人間ドックなどのメンテナンスにおカネをかけようと思えるかが重要です。自分の健康にかかわる情報に触れたとき、そこでどう感じ、どう自分ごととしてとらえ、そこからどう動くのかが、今後を大きく左右するという意識を持ちましょう」(飯島教授)

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