熟年パパの「健康リテラシー」が超重要なワケ

健康診断の数値を「見るだけ」では意味なし

「また、一時的に生活を改善しても、それを続けることができなければ意味がありません。40代前半は、人生のまだ半分しか生きていないと言えますが、この先、年齢の階段を上っていくにつれ、体は衰えます。自分の努力で数値が下がっても、『やることをやって頑張ったからOK』で終わらせず、『来年も再来年も、継続性を持ってその習慣を続けていけるかどうか』が大事です。たとえば、食べすぎたり、飲みすぎたりした翌日は、食事やお酒をセーブする、1駅手前で降りて歩くなどのセルフリミッターをかける。それが“健康リテラシー”であり、生活習慣病をはじめとする病気の予防において最も大切なことなのです」(飯島教授)

リテラシーとは、「ある特定分野の事象や情報を正しく理解・分析・整理し、それを自分の言葉で表現したり、判断したりする能力」とされ、近年では、ITリテラシーという言葉が定着しました。しかし、ITだけでなく、実は健康においてもリテラシーは最重要。そして、この健康リテラシーが、「若くしてがんなどで死亡するリスクも左右する」と飯島教授は語ります。

3人に1人ががんで死亡する日本

厚生労働省によれば、日本人の2人に1人が生涯でがんになり、3人に1人ががんで亡くなるとのこと(国立がん研究センターがん対策情報センターによる推計値(2007年)、2010年人口動態統計(確定数)の概況より)。今、ここに3人がいたとして、そのうちの誰ががんになり、がんで亡くなるのかは、ロシアンルーレットのようなものとも言えるかもしれません。しかし、飯島教授は、「発症を制御するがん抑制遺伝子に火がつくかどうかも関係するため、そこには運・不運はあるけれど、本人の努力も関係するもの」と話します。

東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授。「一億総活躍国民会議」の有識者民間議員も務める。著書に、『東大が調べてわかった 衰えない人の生活習慣』(KADOKAWA)など(筆者撮影)

「予防だけでなく、早期発見という面でも、がんで亡くなるリスクを左右するのが健康リテラシーです。毎年の健康診断をきちんと受けることはもちろんですが、その結果に対して、本人がどう動くかが重要。まず、数値が悪い臓器の検診を自ら受けに行くのかどうか。そして、微妙な数値が出たとき、医師に『半年後にまた検査しましょう』と言われても、そのまま放置するのかどうか。

さらに言えば、時が過ぎてから体調に不安を感じてようやく病院に行き、そこでがんが発見されても、全摘出などの手術を即座に決断できない人もいますし、民間療法に頼る人もいます。しかし、20代から40代のがんは、進行が非常に速いので、その時々の行動や決断が生死を分ける可能性が非常に高いのです」(飯島教授)

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