「直木賞」の過剰評価にイラッとする人の目線

むしろ受賞後こそ作家の力量が試される

多くのメディアに取り上げられる直木賞。写真は第158回直木賞受賞者の記者会見(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

本日(7月18日)の夕刻、東京・築地の料亭「新喜楽」で、第159回直木賞・芥川賞の最終選考会が開かれる。

改めて今回の候補者を確認してみると、直木賞のほうは、『告白』『高校入試』をはじめとするドラマ化・映画化された作品の多い湊かなえ、14年前に金原ひとみ・綿矢りさが芥川賞を受賞したとき、彼女たちと受賞を争った〈若きベテラン〉こと島本理生など6人。

いっぽう芥川賞は、劇団「大人計画」主宰の松尾スズキ、盗用問題がにわかに浮上した「美しい顔」の作者の北条裕子など、5人の候補者が並んでおり、相変らず注目を集めるなかで選考会の日を迎えた。

メディアの力で大きくなった「直木賞」「芥川賞」

両賞とも創設されたのは、1935年。そこから回を重ねて80年を超えるという、とにかく歴史の長い文学賞だが、この2つの賞には、昔から謎だと言われてきた大きな特徴がある。

数ある日本の文学賞のなかで、「なぜか両賞だけが多くのメディアに取り上げられる」という現象だ。

「創設当時、両賞は話題にもならなかった」という記事を、たまに見かけることがある。しかし、それは明らかに間違いだと断言できる。

メディアそのものが巨大化・多様化する1950年代~60年代以降に、高い注目度を獲得したのは事実だが、それ以前に話題にならなかったということはない。特に芥川賞のほうは、第1回のときから(いや、第1回なのに)権威ある賞としてほとんどの新聞で記事になり、数々の文芸誌や出版物でも言及され、宣伝効果を含めて芥川賞は大成功とさえ言われた。つまり、始まったときからすでに、話題性では抜群の存在だった。

やがて戦後には、大手新聞が軒並み部数を伸ばし、各社が週刊誌を出しはじめ、テレビが登場する。1つのニュースを共有する人数が急増したそのタイミングで、1956年、石原慎太郎というスター性のある当時23歳の若者が芥川賞を受賞。賞の知名度は俄然と上がった。

両賞が社会現象化したのはその頃からだが、特に選考のレベルが変わったわけではなく、社会に張りめぐらされた情報伝達インフラが飛躍的に発達したことが、最大の要因だった。

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