JAL新社長に直撃、LCCで「B787」を飛ばす理由 整備一筋30年、赤坂社長が語る航空機の真髄
――オペレーションではFSCとしての経験を生かせる一方で、コスト面はこれまでと正反対です。
基本的にはLCCのモデルで、必要最低限のサービスを提供して、手荷物預けや機内食などはすべて有料になる。言葉はよくないが”割り切って”、新しいサービス形態にチャレンジできると思う。カギになるのはIT活用になるだろう。
たとえば近距離LCCには機内エンターテインメントの画面がない。中長距離だとしても、LCCなのでつけるわけにもいかない。全席につけておカネを払ってもらった人だけに映すというのも変。なので、端末を機内で有料提供して、Wi-Fi環境でエンタテインメントを楽しめるようにする、といったようなことを考える必要がある。フルサービスでもできなくはないが、画面があることに慣れている人は多いため、実現は難しい。
パイロットは破綻後初の経験者採用へ
――新会社の人員については、JALからの出向ではなく、大半を経験者採用する方針を打ち出しています。特に破綻時の希望退職者や整理解雇の対象者でも応募をできるようにしました。
JAL本体としては2020年に羽田・成田両空港での発着枠拡大に向けて、計画的に人員採用を進めてきた。実際、FSCとしては2020年に運航できる体制はすでにできている。だが、LCC事業はそれとは別。就航当初は150人ほどの規模になるが、運航のためのリソースが社内にはもうない。
破綻以降、これまでは事業拡大に応じて、大半を新卒で採用して育ててきた。だが今回は、新会社で働いてくれる人を航空業界に限らず外部から広く募ることにした。もちろんJALからの出向もあるが、FSCにどっぷり使ったわれわれがやると新事業の足かせになってしまう。できるだけ新しいチームでやりたい。特にパイロットは破綻以降初めての経験者採用になる。JALグループとしての大きな変化だ。
さらに、破綻の際に辞めていただいた方たちは、JALグループへの再就職ができないという制限が付いていた。辞めた人たちだけ対象から外れてしまう。これはおかしいだろうと。手を挙げてくれればうれしい。この制限の解除は、パイロットだけではなく、整備や客室乗務員、地上職員などすべてが対象。実際に採用するかは会社の基準で決めるが、少なくとも手も挙げられない状況はなくそうと。
――一方でFSCとしては、羽田の国際線発着枠拡大が直近の転換点となります。植木義晴・前社長が重視してきた”収益性の確保”をどう実現していきますか。
やはり東南アジア路線、北米路線を増やしていく。今後も需要が大きく拡大するのはこの2方面であり、フルサービスとしての大動脈であることは間違いない。発着枠を活用して、確実に地点を増やし、便を増やしていく必要がある。
あわせて重要なのが、提携戦略。コードシェア(共同運航)もあれば、ジョイントベンチャー(JV:特定路線についてダイヤや運賃を2社間で1つの会社のように調整し、収入も共有する仕組み)というやり方もある。世界全体をカバーできるように、自社運航と他社提携を組み合わせて、すき間のないグローバルなネットワークを作りたい。
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