日本人の4割が抱える「睡眠負債」の深刻度 最速で解消!今日からできる3つのこと

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そこでお勧めなのが、次の2つの方法です。

1:休日の前夜はいつもより1時間前に就寝し、休日はいつもより1時間遅く起床する(1時間遅くといっても、午前10時までには起床して朝食をとり、太陽光を浴びるようにしましょう)。
2:それでも睡眠負債がたまっているときは、二度寝はせずに午後0時から3時までの時間帯に1~2時間の昼寝をする。

1を実行することで計2時間分程度の睡眠負債を解消でき、かつ体のリズムはまったく乱れません。それでも眠気がある場合はあわせて2の方法をとれば、睡眠負債を解消できます。

昼寝については、一般的に夜の主睡眠まで8時間以上の覚醒時間があると、夜の睡眠に影響が少ないことがわかっています。

寝つきや睡眠感に大きく影響する枕も重要

 ③ 枕とパジャマ

枕は寝つきや睡眠感に大きく影響します。年中、空調で寝室を一定の温湿度にしていないかぎり、夏と冬で枕を変えたほうがいいでしょう。

夏の枕には頭部からの汗を吸い取り、頭を冷やす効果が求められます。そのため、形状は小さめで、吸湿性と放湿性が良好で通気性のよい素材を選びましょう。ダニの発生も多いので洗えるものが望ましいといえます。

『命を縮める「睡眠負債」を解消する 科学的に正しい最速の方法』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

一方、冬の枕は肩と首の保温の役割も担っています。やや大きめで頭に当たる部分の素材はダウンなどの保湿性能の高いものを使いたいものです。

寝巻選びも重要です。暑い季節にはパジャマを着ないで寝る人がいます。しかし、パジャマの繊維の表面積は皮膚表面より圧倒的に大きく、パジャマを着たほうが、汗が気化する表面積が増えます。結果的に、裸で寝るよりも深部体温を下げやすいことが知られています。

いかがだったでしょうか。ここまで睡眠負債についてお伝えしてきましたが、私の新刊『命を縮める「睡眠負債」を解消する 科学的に正しい最速の方法』では、この記事で紹介しきれなかった睡眠負債のさまざまな解消方法についても紹介しています。また、睡眠日誌の詳細なつけ方やフォーマットも掲載していますので、ぜひご利用ください。

白川 修一郎 睡眠評価研究機構代表、医学博士

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しらかわ しゅういちろう / Shuichiro Shirakawa

睡眠評価研究機構代表、日本睡眠改善協議会理事長、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所客員研究員、江戸川大学睡眠研究所客員教授。医学博士。睡眠研究のパイオニアとして知られ、JR東海など企業の睡眠教育にかかわるほか、各メディアで睡眠科学に基づく正しい睡眠の方法を解説している。主な著書に『ビジネスパーソンのための快眠読本』(ウェッジ)、『脳も体もガラリと変わる! 「睡眠力」を上げる方法』(永岡書店)、監修書に『基礎講座 睡眠改善学』『応用講座 睡眠改善学』(ともにゆまに書房)、『睡眠負債』(朝日新書)などがある。

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