ドイツのベイヤーダイナミックも高級品を出しているが、この数年のバブルには乗り切れず、ドイツでは新参メーカーの超高級路線が続いており、今回のイベントでは、50万円のヘッドフォンが発表された。その他、ガレージメーカーでも30万円といったヘッドフォンを出すところもある。
一方、最近のヘッドフォンブームの飽和感は、実はイヤホン市場にバブルが移行したことによるものだ。イヤホンブームの方が裾野は広く、人知れず超高額イヤフォンを着けているサラリーマンは多い。数万円のものがブームだが、10万、20万というイヤホンもあり、また、プロのミュージシャンが使っている(Perfumeも中田ヤスタカも使っている)個々人の耳形に合わせたカスタムメイドのイヤホンがブームになっている。これは生産が追いつかず、順番待ちとなっているものもある。
バブルが膨らんでいくメカニズムとは
ヘッドフォン・イヤホンバブルと金融市場のバブルと、実は全く構造が同じであることがわかる。
まず、バブルのきっかけは何でも良い。実体があってもなくてもよいのだ。ただ、普通は何らかの実体があることが多い。そうでないと、最初に盛り上がるきっかけがない。オーディオテクニカの木のヘッドフォンから革へのヘッドフォンへのブームは、限定されたマニアの間だけのひそかなブームだった。
次にそのバブルが広がりを見せるためには、新しいプレーヤーが参入しないといけない。新しいプレーヤーの多くは、当初のバブルのきっかけをつくったプレーヤーに比べて、バブルの対象になっているものに対する理解が低い。マニアから一般大衆への広がりということだ。マニアのマニアックな、あるいは英語で言うところのmanicな盛り上がりは、世間に知られることもなく、広がりを見せることもなく、部分的にひっそりと盛り上がり、ひっそりとした盛り上がりが続くこともしぼむこともあるが、バブルと呼ばれる現象にはならない。
ところが、このマニアックな面白さや、一部の金融リターンが、一般的なプレーヤーや大衆の目を引くと、一気に広がりを見せる。そして、その広がりは、マニアックでないほど、専門知識がないほど、実体についての理解が乏しいほど、早く、幅広く拡大する。だから、実態に乏しいものほど、バブルになりやすく、バブルは大きく膨張するのだ。
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