イエレンFRB次期議長の大きなリスクとは? 上院公聴会の証言でわかった、危うい現状認識

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公聴会で宣誓するイエレン次期FRB議長。米国の金融政策では難しい舵取りを迫られそうだ(ロイター/アフロ)

次期連邦準備理事会(FRB)議長に指名されたジャネット・イエレンFRB副議長が、米上院銀行委員会の公聴会で証言を行った。世界の株式市場は、これを材料にしようと待ち構えていたが、ほぼ予想どおりの無難な証言であったために、リスクに備え一時的に退避していた資金が少し戻り、株価は上昇、ダウは史上最高値を更新した。

しかし、この証言には、イエレンFRB次期議長の持つ最大のリスクが明確に示されていた。それはなんだろうか。今回のコラムでは、イエレンのリスクを考えてみたい。

「ハト派過ぎるイエレン」の意味

多くの人々、とりわけ共和党が懸念するのは、イエレンがハト派すぎることである。つまり、彼女の打ち出す金融政策が緩和的であり、それが過剰に緩和的であることだ。

具体的には、現在、行われている量的緩和が、長期にわたって継続されるリスクである。現在行われているFRBによる量的緩和とは、米国長期国債とMBS(住宅ローン担保証券)を毎月一定額購入し、それを無期限に継続する、というものだ。今年の5月以降、この量的緩和の縮小の見通しが、金融資産市場を大きく揺さぶる唯一のイベントだった。5月23日のバーナンキ現FRB議長の量的緩和縮小の示唆が、世界中の株価の暴落をもたらし、日経平均は、リーマンショック後の1日の下げ幅を大幅に上回る1100円以上の下落となった。

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