イエレンFRB次期議長の大きなリスクとは? 上院公聴会の証言でわかった、危うい現状認識

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これは二重の意味で間違っている。

米国経済は異常状態ではない。新しい現実が始まったのだ。7%台の失業率の継続が新しい現実なのだ。これは、実はリーマンショックの前から始まっていた。それを金融バブルでごまかしていたのだ。リーマンショック前の水準に失業率を戻すということは、新しい現実の経済構造の下では、景気が過熱しなければ実現しないのであり、それはバブルを起こすということにほかならない。

イエレンの認識は部分的には正しい。それぞれの事実認識は正しいのだ。第1に、失業率が7%というのは以前の水準に比べれば高すぎる。第2に、まだ資産バブルは起きていない。だから、異常事態対応の金融政策である大規模な量的緩和を継続する。失業率が下がるまで継続する。

しかし、新しい現実の下では、この三段論法は誤っている。もっと単純な現実なのだ。つまり、現在、米国経済は正常な状態にある。正常な状態の失業率は7%だ。資産バブルは起きていないが、資産バブルでも起きないかぎり、失業率は7%から大きく低下しない。こちらが現実なのだ。

金融緩和の効果を、過大評価している

後者の解釈を正当づけるものは数多くある。失業者の多くが長期的失業に陥っている。彼らは、新しい現実に対応できなくなった労働者なのだ。だから、景気が回復し、経済が正常な状態に戻っても失業率は回復しない。さらに、雇用が増えても失業率が低下しないのは、求人の増加に対応しているのが、労働市場から退出した潜在的な働き手であるからだ。彼らは、景気が過熱して賃金などの条件がよくなれば市場に出てくる人々だ。

逆に言えば、是が非でも職がほしい人々には職が与えられず、条件次第で働く人々へ職が回っているということは、定常状態を超えて、景気の過熱が始まりつつあることを示しているのだ。

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