ブランド創りの新潮流は、便利なアプリ NIKE、インテル、レノボなど続々

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インテルの「The Museum of Me」

2011年に公開された「The Museum of Me」は、これまでフェイスブック上にアップしてきたあなたの情報や友人や写真やメッセージを関連付けしながら展示して、自分の博物館を作ってくれるというとても嬉しいアプリです。スマホの小さな画面では埋もれてしまって見ることの難しい古い履歴まで掘りおこして、ウェブ上の「わたし博物館」の中に美しく展示してくれます。

落ち着いた美しいBGMが流れる中で自分のソーシャル・ライフを回顧することで、自分が仲間とつながっていることを改めて実感させてくれるこのアプリは、世界中で高く評価され、2012年のカンヌライオンズでは3部門で金賞を受賞しました。

こんな夢のようなアプリが無料で手に入るのですから、フェイスブックユーザーは大歓迎しました。このアプリを提供したインテルは、もちろんマーケティング的な意図があって作っています。しかし、この作品は、人々に利便性を提供することによって、インテルの商品のプロモーションを行なうという目的をはるかに超えて、インテルという企業が、プロセッサ技術を通して世の中にどんな価値を提供しようとしているのか、インテルが何のために社会に存在しているのかまでをも感じさせてくれます。

マイクロプロセッサ業界を支配するデジタル技術の権化のような企業が、こんなエモーショナルな体験を提供してくれるなんて、と、いい意味でブランドイメージを裏切られた人も多いと思います。ちなみに、グローバルで絶賛されたこのアプリは、日本人クリエーターチームの手になるものです。

ペンギンが水族館へとナビゲートするアプリが登場

サンシャイン水族館提供の「ペンギンナビ」をご存じでしょうか? AR(拡張現実)技術を使って再現した可愛いペンギンの一群が、あなたを水族館までエスコートしてくれる無料アプリです。

種明かしをすると、このアプリは池袋のサンシャイン水族館のプロモーション施策です。池袋駅東口から徒歩10分以上という、やや不便なロケーションが集客の阻害要因となっていたことから、それを克服するための手段として、来館者が10分の道のりを楽しく確実に水族館まで到達できるような、道案内のアプリを開発したわけです。

制作にあたっては、本物のペンギンの歩き方をモーション・キャプチャーで解析してアプリ上に再現するという水族館らしいこだわりを見せています。App StoreかAndroid Marketでアプリをダウンロードした後、スマホの画面上で体を左右に振ってよちよちと歩くペンギンの一団の後をついて歩いていけば楽しく水族館に到着して、道のりが長いのも思わず忘れてしまう、という仕掛けです。このアプリをローンチしてから、来場者数は増加に転じたそうで、効果が検証されています。

このナビゲーションシステムも、ユーザーに利便性を提供すると同時に、サンシャイン水族館イメージの魅力度アップに貢献するものです。

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