NYで必見、トニー賞受賞のミュージカル5選

アニメ「スポンジ・ボブ」は舞台装置が圧巻

そうした内容に合わせて、音楽も渋い。そして、滋味深く、充実している。楽曲賞を受賞したデイヴィッド・ヤズベク(作曲・作詞)はニューヨーク生まれながら、母はイタリア系ユダヤ人、父はレバノン系という家系を持つ。彼にとっては、これが4作目のブロードウェイ・ミュージカルだが、初めてその出自を反映した楽曲を書き、見事な成果をもたらした。

他に、脚本賞、演出賞、編曲賞、照明デザイン賞、音響デザイン賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞を受賞。地味なミュージカルながら、総なめと言っていいほどの評価を得た。その背景には、アメリカ社会が国内外で直面している重要な事案の断片を図らずも映し出すことになった、この作品の“現在性”に対する共感があるのかもしれない。

観逃せないリヴァイヴァル『回転木馬』の女優陣

『The Band’s Visit』が大量受賞してしまったので、その他に受賞したミュージカルは4作品のみ。しかも、3作品はリヴァイヴァルだ。

そのリヴァイヴァル3作品の内、リヴァイヴァル作品賞を“獲らなかった”2作品の出来が素晴らしい。

一つは『回転木馬』(Rodgers & Hammerstein’s Carousel)。この作品は、振付賞と助演女優賞を受賞した。

振付賞と助演女優賞受賞作 『回転木馬』(Rodgers & Hammerstein’s Carousel)

『サウンド・オブ・ミュージック』(The Sound Of Music)で広く知られるリチャード・ロジャーズとオスカー・ハマースタイン二世だが、そのコラボレーション2作目にあたり、初演は1945年。古典的と言っていい名作だが、今回のリヴァイヴァルは、むしろ初演当時の挑戦的な姿勢を生々しく感じさせる、今に生きる新鮮な舞台に仕上がっている。

それに大きく貢献しているのが、振付賞を受賞したジャスティン・ペックの手がけた躍動的な、モダン・バレエ色の濃いダンス。冒頭、中間、終盤と、都合3カ所に配された長いダンス・シーンが、この作品に対する作者たちの強い意欲を、よく示していて刺激的。ちなみに、ダンスは2階席から観た方が、その魅力がよりわかりやすい。

助演女優賞を受賞したのはヒロインの親友役を演じたリンゼイ・メンデズだが、同じく助演女優賞で候補になったメトロポリタン・オペラの歌姫ルネ・フレミングと、『ビューティフル』(BEAUTIFUL The Carole King Musical)で主演女優賞を受賞し、今回も同賞の候補になったジェシー・ミューラー、という3人の主要女優陣の歌が素晴らしい。オリジナル・キャストの音源がCDリリースに先駆けて、すでに配信されている。

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