NYで必見、トニー賞受賞のミュージカル5選 アニメ「スポンジ・ボブ」は舞台装置が圧巻
もう一つの注目リヴァイヴァルは『マイ・フェア・レディ』(My Fair Lady)。こちらは衣装デザイン賞しか獲らなかったが、これも今日的な意欲作。
どう意欲的かと言うと、コヴェント・ガーデンの貧しい花売り娘からレディへと変貌するヒロイン、イライザを、自立した女性として描いていること。加えて、その描き方が紋切り型ではなく、自立しているがゆえの苦悩も描き、かつ、それを描くために歌の演出に工夫を凝らしたことが新しい。
これまでストレート・プレイにしか登場してこなかったローレン・アンブローズの起用は、そうした方針に沿ったものだろう。今回主演女優賞の候補にもなったアンブローズは、実はオペラの歌唱も学んでいて、歌う力は充分に持っている。にもかかわらず、演出のバートレット・シェールは、アンブローズの歌唱をストレート・プレイ的な色合いで運ぶことで、過去のイライザ役には見られない現実的感触のパフォーマンスにした。それが、前述したイライザ像を生み出し、これまた古典的名作である『マイ・フェア・レディ』に新しい息吹を与えている。
ちなみに、リヴァイヴァル作品賞を獲ったのは『ワンス・オン・ディス・アイランド』(Once On This Island)。1990年初演のアンティル諸島のとある島を舞台にした幻想的な物語に、現実の移民問題のイメージを重ね合わせている風なのが今回の特色。楽曲もよく、見応えはある。
キャラクターが着ぐるみではない『スポンジ・ボブ』
残るトニー賞受賞作は、装置デザイン賞を獲った『スポンジ・ボブ』(SpongeBob SquarePants: The Broadway Musical)。“あの”同名アニメーションの舞台ミュージカル化だが、キャラクターが着ぐるみではない辺りのアイディアが、凝りに凝った装置も含めて視覚的に面白く、ロック・アーティストたちが書き下ろした楽曲によるショウ場面も多彩で楽しい。
ロングラン作品が有名なブロードウェイ・ミュージカルだが、本当に面白いのは開幕から間もない“新作”の内。積極的にご覧になることをオススメしたい。
(TEXT BY Masahiro Mizuguchi)
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