JAL導入を突破口に日本でシェア5割目指す エアバスCEO、対日戦略を語る
――「A350」は、ボーイングが今後投入する「B787」拡張版2機種(250席~、300席~)と、現行「B777」の後継機「B777X」(350席~)が競合機種になる。優位性があるとすればどういった点ですか。
開発を進めている「A350」ファミリーは、サイズが異なる「A350-800(標準座席数270席)」「-900(同314席)」「-1000(同350席)」の3タイプを市場に投入する。
エアラインにとって適切なサイズで、国内線、国際長距離線の両方に使用できる。また、経済・環境性能に優れているうえ、エコノミーでも座席幅を18インチとるなど、客室の快適性も高い。
競合機について言えば、「B777X」はかなり古い世代の機体の進化版。座席数のレンジも限定的で、使用されうる路線が限られるだろう。しかも、ボーイングはマーケティングを先行してやってはいるが、私が知る限り、まだ「B777X」の正式な開発には着手していない。
――「A350」ファミリーは、ます2014年内に「A350-900」の出荷開始を目指している。開発の進捗状況は?
順調に進んでいる。「A350-900」は今年6月に飛行試験を開始して、すでに75回のフライトをやり、累計飛行時間は370時間になった。飛行試験の第一段階として非常にいいスタートが切れた。
最終的には累計2500時間に及ぶ飛行試験が必要になるが、こうした開発作業を1年以内に完了させ、初号機を最初の顧客に引き渡す。作業は順調に進んでいるので、当社がコミットメントしている性能、引き渡し時期はいずれも信頼度が高い。こうした点もJALが「A350」を選択する大きな判断材料の一つになったと思う。
日本の産業界と協力を深めるチャンス
――ボーイングと比較すると、エアバスは日本の製造業との取引関係が薄い。
現在、グループ全体で日本から年間10億㌦(約1000億円)相当の調達を行っている。日本の産業界は先端素材やエレクトロニクス、キャビン装備、エンジンなどで非常に優れた技術を持っている。経済はグローバル化しており、日本の産業界と協力関係を深めるいいチャンスだと思っている。日本からの調達に上限はない。
――日本におけるエアバス機のセールスが増えれば、日本企業からの調達も増えるのか。
エアバス、日本のサプライヤーの双方にとって、そう言えると思う。エアバスが日本でボーイングと同じように成功したら、日本のサプライヤーにとっても、ボーイングとの取引を最優先する理由がなくなる。ですから、私は「ドアは広く開いています」と申し上げている。
確かにエアバスは欧州の企業だが、米国からは年間120億㌦(約1兆2000億円円)相当の調達を行っている。こうした米国の企業も当初はボーイングのみと商売していた。それが今では、エアバスのサプライヤーになるために、企業間で激しく競っている。私は日本の製造業との間でも、同じようなビジネス環境を醸成していきたいと思っている。
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