大学の先生には、なぜ「留守」が多いのか 「大学教員」以前に「研究者」? 仕事としての「研究」のリアル

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セミナー報告はオンライン化するのか?

ただ、そんな事情を踏まえても、「物理的には人を運ばない」ような方向にこの業界は向かって行かないのだろうか。

たとえば共同研究については、僕が大学を卒業して学者稼業を始めてからの10年ほどの間に変わってきている。昔だったら遠く離れたところにいる研究者と共同研究をするのは楽ではなかっただろうが、今ではリモートでもかなりのことが可能だ。

いまだにメールは10年前と同じように多用するけれども、skypeでの国際通話も簡単になったし、グループ通話が実装されてからは3人以上がバラバラな場所にいても、それなりにリアルタイムで仕事ができるようになった。

skypeやそのほかのスクリーンシェアリングソフトを使えば論文の改訂も一緒にできるし、dropboxで原稿や関連文献などをシェアするのも簡単だ僕が大学院に入ったばかりの2003年当時は、いちいちメールでファイルをやりとりしていて、時々バージョンを間違ったりして無駄な手間が多かった。

話を戻すと、論文のセミナー発表はそれこそ講演みたいなものだ。インターネットで視聴することのできるTEDの講演なんかを引き合いに考えると、僕らの発表が動画サイトである程度代用できてもおかしくないような気もする。

実際のセミナーでは質問など相互のやり取りがたくさんでるので、それをどのような形で再現するかによって用いる仕組みは違ってくるだろうが。

話題のオンライン講義に関しては、実際ウチでもずいぶん増えてきた。同僚がゲーム理論のオンライン講義をしていて、いろいろ試しているみたいなので、機会があったらこの話も書きたい。

セミナー発表は講義に似たところがあるから、こちらに変化の波が来てもおかしくない。

※追記:ペンシルバニア大滞在中の世間話で聞いたのだが、ある大学は就職活動中の学生の研究発表をYoutubeにあげて見られるようにしているらしい。

そんなことをぼんやり考えていたら、飛行機がそろそろ着陸するみたいだ。発表は明後日、頑張ります!

※追記:セミナー終わりました。うまくいったかどうかはよくわかりませんがとりあえずよかったよかった。

著者撮影:今回出張で訪れたペンシルバニア大の構内

次回の更新をお楽しみに!

小島 武仁 経済学者、東京大学大学院経済学研究科教授

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こじま ふひと / Fuhito Kojima

東京大学マーケットデザインセンター(UTMD)センター長。1979年生まれ。2003年東京大学卒業(経済学部総代)、2008年ハーバード大学経済学部博士。イェール大学博士研究員、スタンフォード大学助教授、准教授を経て2019年スタンフォード大学教授に就任。2020年に母校である東京大学からオファーを受けて17年ぶりに帰国し、現職。専門は「マッチング理論」「マーケットデザイン」。

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