「乙武がモテるなら俺だってモテる」の危うさ 「障害者」というグルーピングは変だ

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安部:親御さんの影響の話は、すごく分かる! 日本の社会の中で、大きなイシューあげてくれって言われると、「どこで家・家庭と社会の線引きをするか」だと思っているんです。

以前お話したかもしれないですけど、地元のソフトボールチームの監督やってるんですね。そこにダウン症の子もいるんです。親御さんは、過保護になりすぎず、しっかり親離れもしながらも愛情が感じられて、すてきだなと思っています。

親が、障害あるなし関係なく、どれぐらい愛を注いでしっかり肯定してあげるかで、その人たちのその後の人生がすごく変わるってのは感じますね。

今、刑務所の出所者支援について取材もしてるんですが(出所者の社会復帰  2人に1人が刑務所に戻る理由)、再犯率ってすごく高いんですよね。満期出所だと2人に1人が5年以内に、仮出所でも3人に1人が5年以内に刑務所に戻っているというデータもあって、全然更生のための施設として機能していない。

刑務所の中にいるときから更生のサポートしなきゃいけないと考えがちですが、出所者の就職支援をしている人に取材すると、「ひとり親の人が多い」とおっしゃるんですよね。そういうのを聞くと、家庭支援をしたほうがいいのかもしれないと僕なんかは思うわけですよね。

別にひとり親が悪いんじゃないんですよ。要は、ひとり親のサポートが十分じゃないっていうことなんです。

乙武氏の考える「日本の家庭の問題点」

乙武:家庭が大事、家族が大事ということに反対する人はなかなかいないと思うんです。一方、日本の問題点というのは、一つひとつの家庭・家族というものが、あまりにクローズドなものになりすぎている。その各家庭・家族が持ち得るファミリーキャピタルとでも呼ぶべき資源に、かなりの差があると感じますね。

安部:相当ありますね。

乙武:ファミリーキャピタルが足りていない家庭に対する支援の問題がありますよね。「自分の家庭のことは自分で解決しろ」という自己責任論の強い文化だから、要介護の方を抱えた家庭で誰かが仕事を休まなければならなくなる。

育児も全く同じで、「お前らの責任で子どもを産んだんだから、お前らが世話するのは当たり前だろ。それをよそに預けて仕事に出る、ましてや誰かに預けて夫婦でデートに出掛けるなんてとんでもない」という風潮がある。

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