吉田麻也の「おっさんと若手」をつなぐ統率力 セネガル戦でマネ封じに一役買った29歳DF

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サネ(ドイツ1部=ハノーファー)と競りあう吉田(写真:ロイター/Marcos Brindicci)

それでも昌子源(鹿島アントラーズ)と連携しながらニアン封じに全力を注ぎ、後ろからチームを鼓舞する。

そんな彼らに後押しされたチーム全体がセネガルのフィジカル能力に徐々に適応。前半34分に乾貴士(スペイン1部=ベティス)の同点弾が生まれる。前半を1-1で折り返すことができ、日本には「まだイケる」という雰囲気が色濃く感じられた。

一方で、セネガルも策を講じてくる。後半に入ると、マネとパパ・エンディアイエ(イングランド1部=ストーク・シティ)に真ん中の中途半端なポジションを取らせ、機を見て中央突破を試みてきたのだ。

吉田とマネの関係性

そこで、1つのポイントになったのが、吉田とマネのマッチアップ。奇しくも2人は2014-16シーズンの2年間ともにサウサンプトンでプレーしたかつての同僚だった。

「マネとはいつもジムで一緒だった。アフリカンらしくない真面目さと向上心を持っている選手で、リバプールに行ってから格段に成長した。今までできなかったプレーもできるようになり、能力も非常に上がっている。乗ってる時の彼はホントに難しい」と日本代表守備陣の大黒柱は以前からこう語り、マネ封じがセネガル戦のカギになると捉えていた。

だからこそ、絶対に負けられない。

マネ(左)と競りあう酒井宏樹(右)(写真:ロイター)

後半9分の最初の1対1では大胆な寄せでつぶしに行き、心理戦で優位に立つ。

「マネのことは分かっているから。正直、ファウルでいいやと思ってました」と余裕の笑みをのぞかせた吉田は、マネを止めればセネガル全体が苛立ちと焦燥感を覚えることを見通していたのだろう。

主に対面で弾丸アタッカーに対応した酒井宏樹(フランス1部=マルセイユ)の堅守ももちろん光ったが、守備陣に意思疎通を図り続けたリーダーの存在なしに今回のエース封じは成し得なかった。

次ページマネとの巧みな駆け引きを制した吉田
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