反対する理由で最も多いのは、AI技術への不信感だ。機械が人を判断できるはずはないと考える学生は多い。
・「人に判断してほしい」(九州大学・理系)
・「コンピュータに自分を判断されたくない」(立命館大学・文系)
・「人の気持ちを理解しないから」(慶應義塾大学・文系)
・「機械に判別してもらいたいと思わない」(関西外国語大学・文系)
・「言葉の裏にある温かみまでAIはわからないと思う」(法政大学・理系)
ESを採用担当者が読まないことに対する抵抗も強い。ちなみに各種報道を見ても、AIに関する記事は多いが、中身について報じる記事は皆無。選考に使うなら中身を公開すべきだという理系学生の意見もある。
・「時間をかけて書いているのだから、読むくらいはしてほしい」(東北大学・理系)
・「AIと呼ばれる技術の中身が不鮮明。どのようなアルゴリズムなのかを公開するべき」(京都大学・理系)
「どちらとも言えない」という回答は文理ともに42%と多いが、ESの合否判定にAIを活用するという意味をはっきり分かっていないようだ。もっとも、ソフトバンクやサッポロビールの記事を読んでも、「誤字や文章力をAIはどう判断するのか」「合格にする基準は何か」などについては、書かれていない。
ていねいに書いても採用者が読まないなんて
説明には「過去のデータをAIに入れて精度を上げる」とあるが、AIが採用データとその後の人材データをどう学習するのかはわからないので、学生が「どちらとも言えない」というのももっともだろう。
・「判断基準を教えてほしい」(東京大学・理系)
・「AIが正しいとは限らない」(東京工業大学・理系)
・「人の目で判別してほしいと思う反面、やはり新しい取り組みは、日本としてどんどん取り組むべきだと感じるため」(東京農工大学・理系)
一方、AI活用に賛成する学生が挙げる理由は、「平等」「正当」「公平」だ。ESについても一生懸命に考えて書く学生がいる一方で、コピペでごまかす学生もいる。就活本やWebに出回っている模範ESを人事がすべてチェックするのは不可能である。
まじめに書いた不器用なESが不合格になり、要領よく書いたスマートなESが合格することもありうるだろう。「コピペ防止」(東北大学・理系)、「就活本からのコピペをはじくことができるから」(名古屋工業大学・理系)という意見はもっともだ。
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