来春卒業予定の大学生の就職活動解禁から3週間。早くも「内定出た」の文字をSNSなどで目にしたり、「AI(人工知能)採用」なる未知のフレーズを時折、耳にしたりしているかもしれない。いくら売り手市場とはいえ、当事者である学生たちには不安を抱えながらの日々であろう。果たして2019年卒の就職戦線は、今後どのように進んでいくのか。今年のトレンドをまとめてみたい。
今年の採用戦線の最大の特徴は、企業の採用意欲が依然として強い点だ。リクルートワークス研究所が昨年秋に行った「ワークス採用見通し調査」によると、2019年卒の大学生・大学院生を対象とした新卒採用見通しは、「変わらない」が48.6%と半数近くを占めるものの、「増える」(15.8%)が「減る」(5.1%)を10.7%ポイント上回っている。2018年卒に引き続き、増加すると見込まれている。この傾向は特に大手で強く、従業員数5000人の以上企業の約2割が「増える」としている。
売り手市場だが、金融系に採用減の動き
ところがこれを業種別に見ると、その状況はまだら模様であることがわかる。増加基調が強いのは、飲食サービス業や小売り、コンピュータ・通信機器・OA機器関連、半導体・電子・電気部品。いずれも「増える」が2割を超えている。その一方、他と一線を画しているのが、金融業だ。証券は他業界同様の高い採用意欲を示しているが、銀行は「わからない」が半数超を占め、労働金庫・信用金庫・信用組合は「減る」が11.3%と、この調査の22業種の中で唯一、1割を超えていた。
メガバンクが採用数を減らすことはすでに報じられているが、学生の間でもその認識が広がっている。その影響もあってのことだろう。3月以降各地で開かれている合同企業説明会での学生の集まりが例年に比べて芳しくない、といった声を複数の銀行の採用担当者から聞いている。
しかし元々金融業は、求人倍率が0.2倍前後で推移してきた「超人気業界」。採用数減についても背景にあるのは、金融とITを融合したフィンテックの普及に力を注ぐ、という経営戦略がある。この流れはおそらく他の業界にも急速に波及していく可能性がある。
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