就活生が嫌がる「AIによる採用」導入は進むか 検討企業11%、実施企業わずか2%にとどまる

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2019年新卒採用でAI活用を「実施する」企業はわずか2%と少ない。しかし、「検討している」企業は11%あり、他社の導入事例を見てから判断するという企業は、少数だが存在することがわかる。

AIの活用法を「導入している」および「検討している」企業に聞いた。有効回答社数は15社と少ないが、「ESの合否判定」が最も多く、53%と過半数を占めている。続いて「面接の合否判定」が33%だ。特に「1001人以上」の大企業では22%とかなり多い。大企業はエントリー数が大量で、効率的に選考を進めるため、AIの導入を前向きに考えているのだろう。

採用担当者のコメントを読むと、企業規模が大きいと賛成、小さくなると反対の意見が多い。企業規模が小さいと志望学生の数も少なく、AI活用のメリットが薄れるのは当然だろう。

「まだ時期尚早と考える」(301~1000人・メーカー)
「使うつもりもないし使う予定もない。ヒトを判断するのが機械であっていいとは思わない。大手企業とは違い、応募数が格段に多いわけではないので、可能な限り、個人と向き合いたい」(301~1000人・メーカー)

中小企業にとってはメリットは薄い?

規模が大きくなると、選考の手間は指数関数的に増大するので、AI活用のメリットは大きくなる。ESの合否判断で、ある程度のスクリーニングをAIが行い、有望なESについては人間が判断するような仕組みだろうか。

「母集団の大きな企業においては、業務改善、軽減、工数削減できるので有用だと思う」(301~1000人・サービス)
「スクリーニングには一定の効果があると考えます」(1001人以上・メーカー)

​AI活用の課題は、機械をどう学習させていくかだ。GoogleのAlphaGoは、AlphaGo同士で囲碁の対局して学習を重ね、人間の囲碁棋士で太刀打ちできない域に達したが、採用の分野では判定の基準がデジタル化されない限り、機械学習という手法は難しい。ただし、その課題が解決すれば、AIを導入する企業は増えるのではないだろうか。

「AIに判断させるための材料となる情報を集めるのが大変そう。しかし、ちゃんと準備ができれば、ぜひ使いたい」(300人以下・運輸)
「基礎となる多くの学生のデータを蓄積するのに時間が掛かる」(300人以下・金融)

​AI活用についての学生と企業の意見を見てきたが、学生は「機械より人」に判断してもらいたいと考えている。ただ「人より機械」のほうが公平と考える学生もかなりいる。

企業はまだ導入すべきかどうか迷っている状況だ。AI活用のメリットを享受するのは、企業規模が大きく、志望学生が多い企業に限られる。機械学習させるべき学生データが多く、また導入した際の効率性も高いからだ。

現在のAI活用法の議論では、現状のエEや面接の合否判定を前提にしている。しかし、別の使い方もありそうだ。それぞれの企業がAIを用いた個性的な使い方を開拓してもらいたいものである。

佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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