ハードな内容は意図していた
――こんなかわいい絵なのに、内容は、少女たちの心の暗部を描き出すようなハードな物語になっていきます。それは最初から意図したものだったのでしょうか?
そうです。そこの驚きも含めての企画のコンセプトでした。虚淵さんが書くシリアスでテーマ性のあるストーリーは本当に面白いので、これをかわいらしいキャラクターが演じることによって広がりが出るのでは、というのがひとつありました。みなさん魔法少女に対するある種のイメージは持っていると思うので、その中で「魔法少女でこういうことやるんだ」というような、その驚きは大きなフックだったと思います。
それから蒼樹うめ先生とは、新房監督、シャフトと私も含めて「ひだまりスケッチ」という蒼樹さん自身が書いた漫画のアニメ化作品でご一緒したとことがありますが、その際に「ひだまりスケッチ」とはちょっと違ったシリアスなキャラクターの表情も見る機会がありまして。これを組み合わせられたら面白いよね、という気持ちはありました。
――テレビ放映後の反響は非常に大きかったと思いますが、ご自身ではどう感じていましたか?
最初から大ヒットしている原作をアニメ化したわけではなかったですからね。おそらく1話、2話の時点では、まだ気にしていなかった方も多かったと思うんですが、放送を重ねるにしたがってどんどん盛り上がっていって。これはアニメオリジナルならではの反響で、本当に驚きましたね。
――劇団イヌカレーさんのメランコリックでどこか不気味な世界観をもった独特な美術空間異空間設計が、非常に印象的なのですが、あれはやはり最初からのアイデアだったのでしょうか?
劇団イヌカレーさんの起用は新房監督です。そこは本当に新房さんのすごいところだと思うのですが、脚本上では魔女空間の具体的な設定は指定されてはいなかったので、それは触手系のクリーチャーかもしれないし、昔話に出てくる魔女かもしれないのですが、脚本を読む人によってそのイメージは違ってくるものでした。しかしそこはありきたりではない、新しい映像にしたいということで、劇団イヌカレーさんにお願いしたということです。
――あの美術があるからこそ、普通のアニメじゃない、アートな感じが醸し出されたと思います。
そう思います。ただ1話が完成した時点では、すごく面白いと思いつつも、やはり、どう受け止められるんだろうと心配する気持ちもありました。
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