答えは、「業界特有の成功パターン」をどれだけ知っているか、です。
実は、コンサルする顧客の成功要因は、(程度の差こそあれ)同業他社にもそのまま当てはめることができるという事実があります。業界を取り巻く環境は同じ、顧客の要望も同じ。サービスや製品の種類も似たり寄ったり。似たようなシステムや技術を使っている。すると、抱えている悩みは同じ。だから、解決策も同じ、でいいわけです。
このため、A社で成功した手法を、同業のB社に提言し、B社で成功したら、同業のC社にも提言する。これを成功パターンの水平展開と言います。だから、経営コンサルタント成功の秘訣は、使える水平展開ネタをどれだけ持っているかにかかっているのです。
これは私だけが言っているのではありません。ルイス・ガースナーというコンサル出身の有名な経営者も、彼の著書『巨象も踊る』の中でつぶやいています。「経営コンサルタント業界の小さな暗い秘密を教えよう」と大胆な前置きをしたうえで、小売業を例に取り、決定的な要因は3つしかない。新しい道筋(=独自の戦略を策定すること)にはリスクがあるし、見つけ出すこと自体がほぼ不可能、と“控えめに”表明しています。
コンサルの成功法則は恋愛でも同じ
恋愛にも同じことが当てはまります(ここから先は、私の友人で“その道のスペシャリスト”、一見、まじめそうな学者に見える、A君の証言に基づいています……)。
たとえば航空業界の客室乗務員さん。彼女たちが抱える悩みは同じです。同じように飛行機に乗って、同じような仕事をして、同じような職場環境で、同じような不規則な就業時間。すると、同じ悩みを抱えます。
たとえば、難関を突破してあこがれの職業についたが、2年も経つと同じ仕事の繰り返しにウンザリしてしまう。肩たたきも絶え間なくある。キャリアを生かせる仕事がほとんどなく、転職がスムーズにいかない。そして飛行機の電磁波を浴び続けると、不妊症になる(と思い込んでいる)。
つまり、「仕事辞めたい」「寿退社にあこがれる」となるわけです。
このため、彼女たちには同じアプローチ、同じ口説き文句が効力を発揮します。こうした愚痴話がでた後に、思いっきり冗談めかして
「僕と出産前提で付き合ってください」
と言うと、笑いというオブラートに包みながら、真剣な気持ちを伝えることができます。そして、結婚願望や不妊症が心配という関心事に焦点が当たっているので、訴えかける力が強いのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら