休日に動かない人ほど疲れが取れないワケ 逆に体を動かしたほうが回復を図れる

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長時間の会議など、なかなかそれすら難しいときには、座ったままの状態で「かかとを上げ下げする動作」を15秒、「つま先を上下する動作」を15秒行ってください。ふくらはぎのポンプ作用に働きかけることで、全身の血の巡りの悪化を防ぎ、倦怠感を和らげることができます。

じっとしているよりも、足元を細かく動かすことを意識できれば、ダメージを最小化することにつながります。

スポーツ医学では「動いて回復する」のが主流

選手がプレー中にケガをしたとき、トレーナーがアイシングをする場面を見たことはありませんか。実は、アイシングには、「炎症を抑える」ほかに、「痛みをマヒさせる」という目的もあります。

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ひどいケガでないかぎり、ある程度体を動かしたほうが回復が早くなることはスポーツ医学でも確認されている事実。伸び縮みをするのが筋肉の自然なあり方なので、動かさないと筋肉はどうしても固まってしまうのです。そこでアイシングでマヒさせて、あえて少し歩かせたりしたほうが、筋肉という観点でも回復が多少早まるというわけです。

このように、スポーツ医学の世界で唱えられている「動的回復」は、脳・内臓・筋肉レベルで体のリカバリー機能を促進する作用があり、日常生活に取り入れることができれば、疲労回復効率と日中のパフォーマンスを確実にレベルアップさせることができるはずです。反対に、従来の「休む=じっとする」ままであれば、体のダメージを余計に増大させてしまうことになりかねないのです。

山田 知生 スタンフォード大学スポーツ医局アソシエイトディレクター

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やまだ ともお / Tomoo Yamada

1966年、東京都出身。24歳までプロスキーヤーとして活動した後、26歳でアメリカ・ブリッジウォーター州立大学に留学し、アスレチックトレーニングを学ぶ。同大学卒業後、サンノゼ州立大学大学院でスポーツ医学とスポーツマネジメントの修士号を取得。2000年サンタクララ大学にてアスレチックトレーナーとしてのキャリアをスタートさせ、2002年秋にスタンフォード大学のアスレチックトレーナーに就任する。スタンフォード大学スポーツ医局にて15年以上の臨床経験を持ち、同大学のアスレチックトレーナーとして最も長く在籍している。

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