ほうじ茶には「新茶」を使うことが少ない理由 意外と知らない、「日本茶」の基礎知識
「煎茶の作り方は、まず茶園で収穫した新鮮な生葉を蒸し、冷却、揉み、乾燥という工程を経て『荒茶』になります。そこからさらに切断・選別、火入れ(乾燥)、ブレンドという工程を経て店舗で販売される製品になります。野瀬園の茶葉は『特蒸し煎茶』といい、通常の約3倍の時間をかけて、深蒸しよりもさらにじっくり蒸しあげているので、深みのある味わいと香りを楽しんでいただけるんです」
美味しいお茶の決め手は「ブレンド」
会社の会議で出されるようなお茶と、味わい深い香り豊かなお茶。その違いは製造過程にあるのだろうか。それとも茶葉の種類や産地なのか。
「お茶の産地は、静岡、鹿児島、京都(宇治)、福岡(八女)など、それぞれに個性が違いますが、厳密にいうと、畑ごとでも味わいが異なります。日当たりが変われば成長状態が変わるわけですから。そこで、重要になるのはお茶のブレンドです」
野瀬園でも、味と香り、お茶の色合いが最高の状態になるように独自にブレンド。それを茶碗に3gずつ入れ、直接お湯を加えた「拝見茶碗」で、味、色、香りをチェックする。さらに、1杯につき茶葉10gの濃いお茶でも味わいを確かめている。
「お茶は農作物だから天候によって傾向が異なります。茶葉の様子を見ながら、最適の蒸し時間を見極め、お茶の個性を生かしてブレンドする。茶問屋は死ぬまで勉強なんです。日本茶はワインのように何年も熟成させることはありません。新鮮さがお茶の味わいのひとつですので、茶葉は少量ずつ買って短期間で飲みきってください。それも、お茶を楽しむ大切なポイントです」