雇用者急増でもGDPが減る日本経済の「謎」

3カ月で141万人も激増、就業者数は過去最高

さらに「就業者」から、「自営業主」と「家族従業者」を引いたものが「雇用者」(企業・団体・官公庁などに雇われて給料・賃金を得ている者)である。と言えばすぐに想像がつくだろうが、自営業主と家族従業者は農家や建設業が多いので、その数は漸減傾向にある。逆に雇用者数は増え続けている。例えばパパママストアが閉店して、代わりにコンビニが出来たとすると、自営業主が減ってその分だけ雇用者が増える、といった図式になる。

ある時期、筆者は「日本でもアメリカのように、非農業部門雇用者(Nonfarm Payroll)の増減数が景気判断に有用なのではないか」と思いつき、それから月次の雇用者数に着目するようになった。その時点では、まさかこの国で就業者数が増えることはないだろう、と思ったものである。だって人口が減っているんだから。今週発表された2017年人口動態統計によれば、昨年の出生数は94.6万人、死亡者数が134.0万人だから1年で40万人近くも人口が減ったことになる。

就業者数は過去最高、なのにGDPはマイナス成長の謎

ところがですな、今年になってわが国の就業者数は、とうとう1997年6月のピーク時(6584万人)を上回った。1990年代半ばといえば、日本の生産年齢人口がいちばん多かった時期である。それより今の方が働き手は多いというのは、いったいいかなる現象であろうか。つまり近年になって労働参加率が大きく上がったことになる。

もっと不思議なことがある。今年の1-3月期には就業者数が141万人、雇用者数も95万人増えた。働き手が2%以上も増えたら、普通は所得が増えて、個人消費も伸びるはずである。ところがお立ち合い、今年の1-3月期のGDP成長率は年率で-0.6%というマイナス成長であった。そして個人消費も前期比で微減となった。こんな不思議なことがあるだろうか?

内閣府の官庁エコノミストたちも、この現象に思い悩んだようである。5月の月例経済報告の関係閣僚会議資料には、「(今年1-3月期は)、名目総雇用者所得が21年ぶりの高い伸びとなっている」という指摘がある。総雇用者所得は「1人当たり現金給与総額×雇用者数」で計算するのだが、それが前年比3.5%も伸びている。日本全体の所得は確実に増えているはずなのだ。

にもかかわらず、個人消費は横ばいである。それだけ将来不安があって、皆が現金を溜めこんでいるのだろうか。あるいは、物価上昇のために所得が実質で伸びていないのか。しかるにご案内の通り、消費者物価はそんなに上がっているわけではないのである。

内閣府も思い悩んだのであろう。関係閣僚会議資料には、「1-3月期の個人消費が横ばいとなっているが、この要因には天候不順などによる野菜価格の上昇といった一時的な要因、前期に増加したスマートフォンの反動減などがあったとみられる」と書かれている。つまりは一時的な現象であって、いずれ消費は伸びるはずだとしている。おいおい、そんな説明では「腹落ち」がしないぞ、と思うのは筆者だけではあるまい。

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