こうして、てんやから「上天丼」が消えた エビの価格高騰をもたらした東南アジアの根深い問題

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過密養殖という構造的問題

エビ天は遠い存在になってしまうのか(写真:アフロ)

今回EMSが流行した原因として、バナメイの過密養殖を指摘する声がある。

バナメイはブラックタイガーよりも小ぶりで成長が3倍早く、単価も安い。中国など諸外国での需要は大きく、ここ15年ほどで全世界の養殖量が約20倍に拡大している。

しかし、生産量を増やすために大量のバナメイを養殖池に投入すると、魚病が流行したときの被害も大きくなる。仮に今回の混乱が沈静化したとしても、過密養殖という根本的な問題が解決されないかぎり、同様の事態が再発するリスクは残ったままだ。

過密養殖を避けるため、池に入れる稚エビの量を調整する養殖業者も出てきた。こうした動きが広がれば再発リスクも低くなるが、その一方で「生産量の急回復は望めない。品薄状態は数年続くだろう」と、前出の水産大手は指摘する。

日本の水産物輸入金額(1兆5048億円)の中でも、エビはマグロ・カジキと並んで約1800億円とトップクラス(2012年)。数量ベースでは年間約20万トンにのぼる。それだけに今回のバナメイ減産の影響は大きい。東南アジアから広がったエビ価格高騰の波紋は、簡単に収束しそうにない。

平松 さわみ 東洋経済 記者

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ひらまつ さわみ / Sawami Hiramatsu

週刊東洋経済編集部、市場経済部記者を経て、企業情報部記者

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又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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