こうして、てんやから「上天丼」が消えた エビの価格高騰をもたらした東南アジアの根深い問題
バナメイ減産の煽りを受けているのは、ブラックタイガーだけではない。ある水産大手は、「バナメイの代替品として、アルゼンチンの天然アカエビなど(東南アジア産以外のエビ)の引き合いが増えている」と明かす。「外食店や小売店の間で『エビなら何でもいい』と取り合いが続いており、エビが全体的に品薄になっている」(別の水産大手)のだ。
販売再開まで1年以上かかる?
今回、てんやが販売を休止したのは、エビが2本入ったメニューのみ。主力の「天丼」(500円)など、エビが1本しか入っていないほかのメニューは価格を据え置いて販売を継続する。
10月21日からは牡蠣などを使った秋限定メニューを投入し、「上天丼」などの販売を休止した影響を抑えたい考えだ。
てんやを傘下に置くロイヤルホールディングスは、「エビの価格が落ち着けば、販売を再開したい」との方針。だが、「数カ月単位で仕入れ価格が戻るとは思っていない。販売再開までには、最低でも1年はかかる」と、楽観はしていない。
なぜ、それほどまでに時間がかかるのか。
実は、EMSがここまで流行した原因は明確に特定できていない。そのため、バナメイの生産量が回復するメドはまだ立っていない。関係者によれば、現地の養殖業者は病気が発生した養殖池の使用をやめて別の場所に移したり、水質を改善したりと試行錯誤を続けているが、先行きは依然として不透明だ。