「農家の直売所」が日本の農業を変える仕掛け 農業総合研究所トップにロングインタビュー
及川:そうですね。中期的な視点、ということで言いますと、コアになるのは物流だと思っています。我々は、農業ITベンチャーとは名乗っていますけど、やはり物流からやらないと強みを出せないかなと思っています。
村上:アマゾンみたいなものですね。
農業をドメインとした事業しかやらない
及川:そうですね。似ているところはあるかもしれません。物流を押さえているとことによって、今は野菜と果物が中心ですが、お肉でもお酒でも、お花でも何でも取り扱えるようになります。リアルで販売できるプラットフォームをどこよりも早く構築していくことが出来れば、同じ物流構造を横展開することで、現在展開しているスーパーに加え、コンビニ、ホームセンター、ドラッグストアなど、他の業種の店舗へも色々なものを流通できる可能性はあります。
とはいっても、我々は農業をどうにかしようと思って起業した会社なので、農業をドメインとした事業しかやらないと決めています。だから、もしそれ以外の領域に挑戦するとしたらどこかと提携したり、M&Aしたりすることになるかと思います。
村上:今は契約スーパーの店舗数を増やすことにフォーカスされていると思いますが、次の展開として加工品の取り扱いに着手されたり、BtoBの取り扱いを増やされたりしていくという戦略もありえるのでしょうか。
及川:そうですね。そこまでは今は考えていなくて、まずはどこよりも物流コストのかからない、青果の物流プラットフォームを作るということに注力しています。
今は、野菜と果物の60%はスーパーで売れています。我々としても、物流コストを安くしようと思ったら大量流通させないといけないわけですから、販売先として重要度が高いのはスーパーです。
また物流コストを抑える観点でもう一つ大切なのが、受発注すると物流コストが上がる、という事実です。ですので我々は受発注をなくすことによっても、物流コストを抑え、一番安い物流プラットフォームを作っていこうとしています。これが実現できた後、我々のセンターを使って外食とかBtoCへ持って行くということをやっていきたいと思っています。
村上:御社の物流に関して、集荷場の運営は御社の直営だけでなく、委託先に任せている所が多いようですが、集荷を委託先に委ねるとどういうメリット・デメリットがあるんですか?