勉強が苦手な子には「感情の上書き」が有効だ もうお手上げ、間に合わないと歎く親へ

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1. 学校から電話があった。しかも算数の補習に参加せよとのこと → うちの子、やばいのでは!
2. 塾の算数の先生が嫌だといっている → これは問題だ!
3. 親が算数の勉強で支援しても、無力感が残るだけ → どうして言うことを聞かないの?
4. 算数ができない子の将来が心配 → そんな人にしてしまった私の責任?

問題の核心は、算数を積極的にやらない子どもに対しての不安感ということになります。一見、塾の算数の先生に問題があるようですが、その前の段階で、「算数は苦手、やりたくない」というアンカー(錨)が心の中に落ちており、算数という言葉が出るたびに心は、算数に向かわず、その原因が先生の問題にすり替わっている可能性があります。ですから、算数に対して「なぜやらないの」「なぜできないの」といじればいじるほど、ますますできないという悪循環になるでしょう。まして、親が家で一緒に勉強し、けんかになっているという状態ですから、一緒に算数をやればやるほど、算数嫌いを加速させていることになります。

では、どうするかという問題です。方法はいろいろありますが、1つご紹介しましょう。

算数が嫌いという感情を別の感情で「上書き保存」する

「感情の上書き保存」という言葉は初めて聞くものかもしれませんね。実はこれが非常に重要なことなのです。

人間は、感情的に良い悪いというもので左右されることが少なくありません。たとえば、子どもは、たまたま算数の九九の発表で、うまくできなくて教室内で笑われたとか、英語の先生がほかの子をえこひいきして寂しい思いをしたから英語が嫌いになる、といったことがあります。

勉強以外でも、たとえば、鉄棒で逆上がりができなくて、いつまでも居残りさせられ結局できず、その後、鉄棒と聞いただけで敬遠するということもありますよね。筆者も同じような経験があります。7歳の時に親戚のおじさんから「音痴だね〜」と言われたことで、その後35年間人前で歌えなくなりました(その後あることがきっかけでポジティブな感情の上書き保存に成功し、今はプロの歌手のバックコーラスで歌うまでになりました)。

つまり、ある原体験があって、それによって感情が固定化してしまった結果、起こることなのです。そして、その後は、事あるごとにマイナス状態に固定化された「感情」が発動し、その先に拒絶するという「行動」が起こるのです。

次ページ「固定化された感情」を上書きする
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