欲しいのはAbeTV?政治と放送の危うい関係 放送局は自らの手で未来像を示すしかない

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首相は2月1日にも、政府の成長戦略の司令塔と位置付ける未来投資会議で「技術革新により通信と放送の垣根がなくなるなかで、国民の共有財産である電波を有効利用するため、周波数の割り当て方法や放送事業の在り方の大胆な見直しも必要」と発言した。

さらに、2月6日の衆院予算委員会では「インターネットはまさに自由な世界だから、規制を持ち込む考え方は私にはまったくない。では放送法をどうするか、という問題意識は持っている。規制改革推進会議で、しっかりと議論してもらいたい」と述べた。4条を巡る奥野総一郎議員(希望の党=当時)の質問への答弁だ。

テレビとネットで同じようなことができて、ネットを規制しないのなら、テレビの規制も撤廃するつもりなのか。業界に波紋が広がった。

「民放は不要」

首相の真意は、政府の内部文書で判明した。推進会議の裏で作られた「放送事業の大胆な見直しに向けた改革方針」「通信・放送の改革ロードマップ」と題したA4判・計4枚だ。

それによると、規制緩和で新規参入と競争を促し、魅力的なコンテンツを提供できる成長市場を創出して、電波の有効利用を進める。

具体的には、通信と放送で異なる規制・制度を一本化。放送特有の①番組準則②番組基準③番組審議機関④番組調和原則⑤マスメディア集中排除原則⑥外資規制──を撤廃する。一方、放送だけに認められている簡便な著作権処理を、通信のネット動画配信などにも適用する。

また、放送のハード(伝送設備)とソフト(番組)部門の分離を徹底。地上放送に許されているハード・ソフト一致の例外を廃止する。高額なハードを持たなくても、ソフト部門で参入できるようにするためだ。

NHKについては、現行の規制を維持しつつ、放送番組のネット同時配信を容認し、公共放送から「公共メディア」へ進化させる。

こうした改革を、推進会議が6月ごろ策定予定の第3次答申に盛り込み、早ければ今秋の臨時国会に関連法案を提出、2020年以降に施行する。これらが実現すれば、NHKを除き「放送は不要」になる。将来的に「電波からネットへの転換が進展、放送に割り当てられた電波帯域に余裕が発生」した段階で、電波オークションを導入する、という。

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