大量の脱北者を防ぐには「体制保証」しかない 「経済特区を用いた高度経済成長」が現実解だ
――北朝鮮にとっての有望産業とは。
「北朝鮮が開国した場合、観光は重要な役割を担うことになるだろう。軍事境界線には歴史的な重要性がある。さらに北朝鮮には過去65年間にわたって人類が活動した痕跡のない広大な未開発地が存在しており、観光資源として非常に魅力的だ」
「物流には大きな可能性がある。漁業や労働集約型の製造業も花開くだろう。北朝鮮は低賃金労働者を大量に抱えている。この利点を最大限に活用し、韓国メーカーの製品を低コストで生産する事業を一気に立ち上げるべきだ」
「加えて、北部地域には鉱物資源が豊富に眠っている。特にレアアースの需要は強く、投資が待たれる。鉱山事業を立ち上げるには、物流網に加えて、電力、掘削機器、揚水設備などが不可欠だ」
金委員長のためにするべきこと
――板門店宣言の全体的な評価は。
「驚くべき成果だ。朝鮮半島の完全かつ検証可能で不可逆的な非核化を成功させるためには、核兵器を手放した後もしっかりと生き残れるチャンスがあることを金委員長に理解させる必要がある」
「そのために米国は関係国と協力して、国際的にも国内的にも北朝鮮の体制を保証する取り決めをまとめて金委員長に示す必要がある。国際的に体制の安全を保証するには、米国および日本との国交を正常化し、韓国と平和協定を締結することに加えて、中国、ロシアと北朝鮮の同盟関係が再確認されなければならない」
「国内的な体制の安全は、経済の高度成長によって保証していく必要がある。米国、韓国、日本、中国、ロシアの5カ国からの開発援助によって経済の改革開放を進め、社会が不安定化する影響を和らげつつ、金委員長に最高指導者としての新たな正当性を与えるのだ」