緊急解説「金正男暗殺」北朝鮮の狙いとは何か 気鋭の北朝鮮ウォッチャーが語る
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の異母兄である金正男(キム・ジョンナム)氏が13日(月)、マレーシアのクアラルンプール国際空港で殺害されたという報道が世界を駆け巡った。韓国メディアの情報によると、北朝鮮の工作員に暗殺されたとみられている。12日の弾道ミサイル発射と動きを見せ始めた北朝鮮でいったい何が起こっているのか? 最近、『新版 北朝鮮入門』を出版した北朝鮮専門家の礒﨑敦仁准教授と毎日新聞の澤田克己記者に、今回の事件の背景を解説してもらった。
金正男氏がマレーシアの首都クアラルンプールの空港で殺害されたという。金正男氏は、金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の長男として知られるが、長らく権力の中枢から遠ざかっており、北朝鮮国内でもほとんど知られていない。
金正男氏自身が、金正恩国務委員長とは一度も会ったことがないと証言したほど、父親は複数ある家庭を別個に接していた。日本では金正恩委員長の「異母兄」と表現されることが多いものの、ロイヤルファミリーの一員でなくなってから久しく、金正恩政権を脅かすような存在ではまったくなかった。殺害によって北朝鮮国内の政治状況に変化が出るようなことはないだろう。
金正男氏殺害の目的は知る由もないが、この衝撃的なニュースを聞いてすぐに想起したのは李韓永(イ・ハニョン)殺害事件であった。李韓永氏は、金正日氏の元妻・成恵琳(ソン・ヘリム)氏の実姉である成恵琅(ソン・ヘラン)氏の息子だ。
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