大量の脱北者を防ぐには「体制保証」しかない 「経済特区を用いた高度経済成長」が現実解だ

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5月24日、北朝鮮北東部の豊渓里(プンゲリ)で行われた地下核実験場の閉鎖作業の様子。北朝鮮は、「核と経済」の同時開発を進める並進路線から経済一本へと転換した(写真:ロイター)

北朝鮮は経済特区の導入によって段階的に市場経済へと移行していくことができる――。北朝鮮専門家で経済学者のパン・チャンヨン博士は北朝鮮ニュース(NK News)のインタビューに答え、このように語った。

本記事はNK News(北朝鮮ニュース)の翻訳記事です

北朝鮮の金正恩委員長は今年4月、国家戦略の転換を宣言。北朝鮮はこれまで核と経済の同時開発を進める「並進路線」を掲げてきたが、核兵器が完成したため、今後は経済一本に集中していくとした。

こうした中で米国政府は、北朝鮮が経済支援を得たければ核について譲歩する必要があるとの主張を繰り返している。ドナルド・トランプ大統領は北朝鮮には「すばらしい可能性」があると述べ、マイク・ポンペオ国務長官も北朝鮮の指導者は民間投資の誘致を望んでいると語った。

だが、パン氏によれば、重要な問題が見逃されているという。

体制崩壊を引き起こさずに市場経済へ移行できるか

パン氏は、旧ソビエト連崩壊後にカザフスタンが市場経済へと移行する段階で、同国のヌルスルタン・ナザルバエフ大統領の顧問を務めた経験を持つ。現在はカザフスタンのKIMEP大学(カザフ経営経済戦略大学)で学長を務めるほか、同大学の北朝鮮戦略研究センターの主席研究員も兼務している。

韓国と米国は朝鮮半島の完全な非核化と引き換えに北朝鮮に投資を行う可能性をほのめかしている。だが、パン氏は、体制崩壊を引き起こさずに市場経済への移行を進めるプロセスがまだ明確になっていないと指摘する。

金委員長は急速な経済発展を通じて「最高指導者としての新たな正当性」を確保する必要があるが、そのためには北朝鮮という国の国家観を大幅に変えなければならないとパン氏は言う。「経済開発を成功させるには、本物の政治改革に加えて、体制の根本的な見直しが伴わなければならない」。

パン氏は電子メールと電話で長時間のインタビューに応じた。同氏は旧ソ連で民主化を進めたミハイル・ゴルバチョフ大統領や、北朝鮮の高官、金容淳(キム・ヨンスン)書記にも助言した経験がある。

次ページ以降が、パン氏へのインタビューの概要である。

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