北海道から見える日本の産科医療の重大危機

過疎地で医師集めに苦闘する自治体の切望

北海道の遠紋地域は、東京都の2.3倍もの面積があるが、出産できる病院はたったひとつしかない。首都圏のJRに貼りだした医師募集の中吊り広告を手に持つ遠軽町の佐々木修一町長(筆者撮影)

遠紋地区の出産を一手に引き受ける自治体に

芝桜が一面に咲き、やっと春を迎えた北海道紋別郡の遠軽町。

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この町は今年の春から、オホーツク地域南部にあたる遠紋地域の出産を一手に引き受ける自治体となった。2月28日に配信した「救急車の中で出産せざるを得なかった母の声」で触れたように、隣接する紋別市の広域紋別病院で、最後の1人だった産科医が2018年3月に一身上の都合で退職したからだ。

遠軽町には遠軽厚生病院という出産施設が1カ所あるが、これより北には、そこから273km離れた日本最北端の稚内に至るまで出産できる病院はひとつもない。この地域には雄武(おうむ)町、興部(おこっぺ)町、西興部村、滝上町、湧別町、佐呂間町、紋別市そして遠軽町の1市6町1村が含まれ、面積にすると5148平方キロメートルある。

東京都の面積(2190平方キロメートル)と比較すると、なんと約2.3個分の広さだ。北海道には、今、このような規模の医療過疎がいくつもの地域で起きているという。

3月に最後の産科医が去った広域紋別病院は、2011年に周辺の5市町村が力を合わせて開設した病院だった。建物も新しく、医療の不安を抱える住民の期待を集めていた。しかし、建物や設備は予算があれば手に入るが、人間はそうはいかない。今、僻地では、医師ひとりを雇用することが至難の業である。

その中で、遠軽が「産める町」であり続けているのはなぜかというと、産科医療の継続に町全体で取り組んできたという経緯がある。

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