「宮古島トライアスロン」知られざる経済効果 毎年4月に開催、34回目を迎えた鉄人レース

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宮古島の下地市長は、トライアスロンの経済効果は3〜4億円だと言う。

同市長は「支援する民間ボランティアが5000名や選手やその家族といった人たちが宮古島で1週間くらい飲み食いすると、相当な経済効果がある」と続けた。

大会前後3日間は、約1500人の選手だけではなく、応援する家族や仲間で6000人以上が来島するということで、どこのホテルもいっぱい。

私は2週間以上前からホテルやゲストハウスを探し、なんとか予約がとれたほどだ。

大会を翌日に控えた選手の半数は、すでに居酒屋で泡盛のレースをはじめている。これもまた宮古島トライアスロンの醍醐味。しかしどこの居酒屋に行っても満席状態だ。

お土産屋と飲食店が並ぶ西里通りには大会前にもかかわらず缶ビールを片手に歩く外国人の姿も見える。

この経済効果は観光産業に力を入れている宮古島市には大きい。またバスの少ない島では、タクシーが主な足になる。あるタクシーの運転手は「この3日間は、普段の1.5倍以上のお客さんだ」という。

「島をあげての応援」が参加者が増える理由の1つ

過疎化していく地方の市町村が、町おこしをしようと外部から人を呼び、躍起になっている中、なかなか成功しない理由の1つに、「地元民の参加率が低い」という問題がある。

たとえ外部の企画者が、経済効果の出るメソッドをつくったとしても、それを運用する地元民がいなければ根付かないのは当然。その点、トライアスロンの応援に対する宮古島の島民の意識は高い。

花冠を作る保母さんたち(筆者撮影)

大会前日には、保母さんたちが集まり、100位以内の選手にあげるため花冠をつくる。

200キロ以上の過酷なレースを終えて待っているのは、保母さんたちがボランティアでつくった花冠。この花冠が欲しくて、頑張るという選手もいるくらいだ。

さらには島民あげての大声援。

ダミアン・コリンズ(オーストラリア)は「ボランティアの皆さんは素晴らしかった。世界のレースの中でとてもいいレースだ」、サイモン・ヤンも「素晴らしい大会なので、また戻ってきたいと思う」と目を細めた。

2連覇を果たしたニュージーランド出身のキャメロン・ブラウンに関しては、「レース中に、島のみんなの温かい応援が聞こえたが、いちばんびっくりしたのはニュージーランドの国歌の演奏が聞こえたことだ。こんなに孤独感を感じないレースはほかにない」と話す。地元の中学生がマラソン地点で演奏しているのだ。

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