ゴルフ業界を外から変える「仲間づくり」の今 ゴルフ婚活も!若者・女性を誘うカギとは?

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月例に集まった参加者たち(写真:Rushゴルフ部)

この婚活ゴルフの経験を踏まえ、今新たに模索しているのが「ゴルフによるコミュニティづくり」だという。

「Rush月例」というコンペを始め、4月に2回目を開催した。HPやSNSで参加を募っている。

こちらは、結婚よりもゴルフのほうを重視し「ゴルフを真剣にやってみたい独身の方なら自由に参加できます。元々の婚活ゴルフからこちらに入ってくる人も多い」という。

結婚相手を探すためにゴルフをやってみて、ゴルフのほうが面白くなってしまった人たち? 「こちらは男女関係の発展が先ではなく、ゴルフをすることが先にあって、月1回定期的に会うのでそこから発展すればいいという感じです」という。

参加費(プレー費別)はやはり女性が2000円、男性が4000円と女性に優しくしている。賞品の持ち寄りもして、より親しみやすい演出もする。ゴールは「結婚」ではなく「ゴルフに目標を持ったコミュニティ」といい「そのほうが人間関係が続きやすい」とみている。

新しいコミュニティを広げるきっかけに

月例というのは、通常は各ゴルフ場の会員で行う競技会のことをいう。言葉として各ゴルフ場の会員は戸惑うかもしれないが、ゴルフ場経営の現状を考えると目くじらを立てることではないだろう。

「いま月例を受け入れてくれるゴルフ場を探しています。ゴルフ場にとても定期的に集客できるのと、その中から新会員が出てくる可能性もあるので、ウイン、ウインの関係になる可能性はあると思うんです」と、これからこのコミュニティを広げていこうとしている。

コミュニティといえば、50代以上の年代だと町内会や自治会などを地域の社会組織を連想するだろうか。いまは、先述した2つの例にたがわず、SNSでつながった同じ趣味やスポーツ、考えなどを持つ人たちが集まるネット・コミュニティがたくさんできている。

ネットで検索すると、ゴルフのコミュニティへの誘いも多い。すべてが安全なものかどうかは保証できないが、少なくとも今回取り上げた2つのような成功例があるのは確かだ。

ゴルフをやってみたい、再開したい、楽しみたい、やりたいけど一緒に回る人が周りにいない、新しい出会いや仲間を作りたい、という人が潜在的にいるということ、中でもゴルフ界が発掘に頭を悩ませている若者層や女性が数多くいることを確認できた思いがした。

後藤さんが言う。「女性にとってゴルフの壁は足なんです。最寄り駅からワゴン車でもいいからクラブの車が迎えに来てくれたら、いろいろなゴルフ場に行けるのですが」。ゴルフ人口が右肩下がりで、先への方策もなかなか見つからないゴルフ業界だが、こうした「ゴルフ業界外」が作り出したゴルフコミュニティの動きへのサポートも、今後の選択肢に入れていくべきだろう。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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