「AI×人口減少」の未来を乗り越える処方箋 保育園を変えれば状況は大きく変わる?
ではこのまま、何も施策を取らずに今の中高生が日本経済の主戦力となる2030年代を迎えてもいいのだろうか? 読解力がない中高生の能力を今から伸ばすことはできるのだろうか? 2人に話を聞いた。
テストの問題文を理解できない中高生たち
加谷:先生が開発された「リーディングスキルテスト(RST)」は、文章をどれくらい理解できているかを測るテストですが、全国で行われた大規模な調査の結果、中高生の多くがテストの問題文を理解できていないという実態が判明しました。それが『AI vs.教科書が読めない子どもたち』のテーマにもなっていますね。
私もRSTの結果には非常に驚きました。数学のテストが悪い場合、数学の内容や公式を理解していないと思いますよね。あるいは、数学への関心が低いとか。しかし、そうではなく、そもそも数学の問題文を正確に読みこなせないんです。それでは解けるわけがないし、興味もわかないでしょうね。
この現実を目の前にしたときに、多くの子供たちが文章の意味を理解できていないのならば、問題文のほうを簡単にしたらいいのではないか、という意見もあるかと思います。それについてはどうお考えですか?
新井:確かにそういった意見はネットでも多く見られました。「理解できないような教科書の書かれ方がそもそも悪いんだ」と。そうした意見に対して、これまでなら反論する術がありませんでした。でも、私たちのRSTのすごいところは、そうした意見をすぐに検証して反論できるところなんです。
だから実際、私たちも問題文を平易にして検証してみました。例えば、一文が長過ぎるのがよくないという意見があったので、短く切ってひとつひとつはごく簡潔な文章にしたり、「愛称」という単語が難しいと言われたので「あだ名」にしてみたり。
それらを1000人規模を対象にテストしてみたのですが、やっぱり正答率は上がらなかったんです。