「AI×人口減少」の未来を乗り越える処方箋 保育園を変えれば状況は大きく変わる?

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新井:全ての子供が0歳から保育園に入れるようになれば、20~30代のお母さんの労働力を使えるようにもなります。大卒や大学院卒のお母さんが増えています。そういう方が、子供が小学4年生になって仕事を探したらレジ打ちのパートだった、というのは社会的損失でしかないですから。

加谷:今の20~30代はバブル世代の子供なので人数も多いですし、その年代の女性は労働市場における「最後の聖域」です。2025年問題に向けて、非常に重要な課題ですね。

それに、お母さんが働きに出れば家庭の可処分所得が増えて、当然、消費も確実に拡大しますよね。そんなにコストのかかる話じゃないですし、ものすごく効果的な打開策になるかもしれません。

結果的に、読めない問題も解消する

新井:現在、企業の商品開発の現場に若い女性がいない、という問題があります。消費に関して一番発言力のある30代女性の声が反映されていないんです。それでは商品と消費者とのミスマッチを生むだけなので、その点でも会社にはダイバーシティ(多様性)があったほうがいいですよね。

それに所得が増えたら、もう1人産もうか、という気にもなりますよね。働かないで子供を預ける人は保育園にボランティアなどで行くようになれば、昔みたいに、大勢の大人の中で子供を育てることもできます。そうすると結果的に、読めない問題も解消すると思うんです。

だから、0歳から全員保育園というのは、ちょっと暴論かもしれませんけど、そう悪くもないと思うんです。同じ霊長類のゴリラっぽくていいかな、と(笑)。

(構成:土居悦子)

「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部

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