マークルさん王室入り、黒人社会の反応は? 白人しかいなかった英王室に変化をもたらす

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ヘンリー王子との交際が報道され始めた当初から、マークルさんの人種的背景は注目を集め、それはポジティブなものばかりではなかった。2016年11月、ヘンリー王子はメディアを批判する異例の声明を出し、一部の記事に見られた人種的偏見を含む論調を非難した。

マークルさんの母ドリア・ラグランドさんが住む米ロサンゼルス近郊の町に関する記事の見出しは、このようなものだった。「ハリーの彼女は、(ほぼ)コンプトン直送。ギャングはびこる母親の自宅発見」

また、ジョンソン英外相の妹で文筆家のレイチェル・ジョンソン氏は、マークルさんが「豊かで別世界のDNA」を英王室にもたらすと書いた。

昨年11月の婚約発表時のテレビインタビューで、このようなメディアの関心について聞かれたマークルさんは、「落胆させられた」と述べた。

「でも私は、最終的には自分や自分の出自をとても誇りに思っている。私たちは、それに特別関心を払ったことはない。カップルとしての私たちの在り方にしか関心がない」と、マークルさんは語っていた。

温かい歓迎

前出のウィンドラッシュ世代の移民の多くが移り住み、黒人人口が多いロンドン南部のブリクストンのマーケットで今回の結婚について意見を聞くと、ほとんどの人が前向きに受け止めており、バラク・オバマ氏が米国初の黒人大統領になったことと関連づける人もいた。

このような反応は、2人が婚約後の今年1月にブリクストンを訪れた時の温かい歓迎ぶりにも見られた。ブリクストンは、1981年の人種暴動以降、荒廃した大都市圏の地区の代名詞のような存在となっていた。

「彼女のような人が王室に入るのは、この国にとって良いことだと思う」と、交通機関で働くノエル・デービスさん(60)は話した。

リアンヌ・フレミングさん(23)は、「彼女が多様な人種の血をひいているということで、特にエキサイティングになると思う。本当は、そんなに重要視されるべきことではないはずだ。でも歴史的背景を考えると、『本当にこれが実現するのか』といった反応も出る。そういう反応をしないですむのが本当だとは思うけれど」と話した。

前出のハーシュ氏は、若者たちがマークルさんを尊敬していると話す。

「彼らは今回の王室の婚礼に、過去にはなかったような関心を持っている」とハーシュ氏は話し、「なぜなら、自分たちや身の回りにいる人に似ている人(が当事者)だからだ。自分たちの親戚に似た母親を持つ人だからだ」と、説明した。

一方で、アンドリュース氏らにとっては、今回の結婚は現実がいかにひどい状況にあるかを示すものにほかならない。

「マークルは英国の『オバマ・モーメント』ではないし、そう扱われるべきではない。王子に選ばれることは、民主主義ではない」と、作家のレニ・エッドロッジ氏は、婚約発表直後にそうツイートした。

「人種差別があまりにひどく、あまりにも歴史的であまりに根深いため、私たちは(そうではないものは)どんなものでも求めてしまう」とアンドリュース氏。「だから、良い意味を持つと思われるシンボルを、持ち上げすぎてしまう。だが落ち着いて何が起き、何が変わったのかを分析すれば、(今回の結婚には)まったく意味がないことが分かる」

「根深い人種差別や失業と同様、王室はわれわれが直面する深刻な問題の一部だ。彼女は、問題の一部になるのであり、解決策になるのではない」と同氏は付け加えた。

しかし、ブリクストンの街を歩く人々の多くにとって、人種は今回の結婚の最も重要な点ではない。

「2人が愛し合っているとき、王室出身か一般人かは関係ない。愛こそが大事だ」と、最初に登場したウォルターズさんは話した。

(Jonathan Shenfield  翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)

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