「衰退する企業、しない企業」の決定的な違い 冨山和彦×小城武彦「衰退の法則」対談<後編>

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冨山和彦氏と小城武彦氏の対談、後編です(撮影:今井康一)
自覚症状がないまま進行し、気づくと命にかかわる状態に至らしめている「サイレントキラー」。日本企業には、それが発動するメカニズムに陥りやすい文化的な「癖」が見られると、カネボウなどの再建に携わってきた小城武彦氏は語る。
小城氏は東京大学大学院の博士課程で行った実証研究を通じて、この仮説の検証を行っており、その詳細は著書『衰退の法則』にまとめられている。かつての産業再生機構でタッグを組んだ冨山和彦氏と、破綻企業に共通する傾向とその解決策について語り合った。

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『衰退の法則』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

冨山:15年ほど前に産業再生機構をつくってから、今日まで悪戦苦闘してきて思うのは、ある意味で何も変わっていないということですね。カネボウで体験したことは、その後の日本航空の再建でもほぼ既視感となっており、その後の10年も、再生機構で経験したことの繰り返しだった。リーマンショックは外部的な要因ですが、今、東芝で起きていることも同じ。

円高だ、法人税が高い、日本の労働市場が硬直的だと、外部環境のせいにしがちですが、日本の製造業は利益の7~8割を海外であげている。日本市場の比率は圧倒的に小さいのだから、日本の法人税率や労働市場の話はあまり関係ない。小城さんが言うように、会社の心臓部に構造的な大問題があり、そこに触れたくないから五重苦、六重苦で逃げ回ってきたような感じがする。

小城:ある種の体質なのでしょう。日本の旧陸軍も同じで、野中郁次郎さんたちの『失敗の本質』に書かれていることから、あまり変わっていない。

喉元過ぎれば熱さを忘れる

冨山:変わっていませんね。おそらく大局的な合理性は完全に捨象される。日本の伝統ある組織は盛りを過ぎると、みんなそうなってしまう。おそらく江戸幕府も最後の頃はそうだったのでしょう。そこで外圧が働いて、1回破壊されて、割と大局的な合理性から組み換えがなされる。それでしばらくはうまくいったけれども、出来上がった仕組みの中で再びサイレントキラー細胞が増殖していく。

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