「衰退する企業、しない企業」の決定的な違い 冨山和彦×小城武彦「衰退の法則」対談<後編>
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冨山:15年ほど前に産業再生機構をつくってから、今日まで悪戦苦闘してきて思うのは、ある意味で何も変わっていないということですね。カネボウで体験したことは、その後の日本航空の再建でもほぼ既視感となっており、その後の10年も、再生機構で経験したことの繰り返しだった。リーマンショックは外部的な要因ですが、今、東芝で起きていることも同じ。
円高だ、法人税が高い、日本の労働市場が硬直的だと、外部環境のせいにしがちですが、日本の製造業は利益の7~8割を海外であげている。日本市場の比率は圧倒的に小さいのだから、日本の法人税率や労働市場の話はあまり関係ない。小城さんが言うように、会社の心臓部に構造的な大問題があり、そこに触れたくないから五重苦、六重苦で逃げ回ってきたような感じがする。
小城:ある種の体質なのでしょう。日本の旧陸軍も同じで、野中郁次郎さんたちの『失敗の本質』に書かれていることから、あまり変わっていない。
喉元過ぎれば熱さを忘れる
冨山:変わっていませんね。おそらく大局的な合理性は完全に捨象される。日本の伝統ある組織は盛りを過ぎると、みんなそうなってしまう。おそらく江戸幕府も最後の頃はそうだったのでしょう。そこで外圧が働いて、1回破壊されて、割と大局的な合理性から組み換えがなされる。それでしばらくはうまくいったけれども、出来上がった仕組みの中で再びサイレントキラー細胞が増殖していく。