「会社の切り売り」が他人事ではなくなる日 遭遇したとき、どう心の準備をするべきか

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もしも自分がカーブアウトによって切り離される立場におかれたら…(写真:Elnur / PIXTA)

クレイトン・クリステンセンが主張する「イノベーションのジレンマ」。聞いたことがある人も多いかもしれません。「顧客の声」に真摯に耳を傾け、顧客の求める価値を提供しようと行う持続的イノベーションが、後から来た破壊的なイノベーションに駆逐されてしまうという構図のこと。

大きな可能性を秘めた事業であっても、大企業の中にある一部門だったりすると、スピーディに大胆な決断をし続けることが容易でなく、結果的に後発のベンチャーに食われてしまうなど、競争力を失うことはよくあることかもしれません。

こうした問題にも有効な経営手法として注目されるのが、Carve out=カーブアウト。企業が事業の一部を切り出し、第三者の投資や経営参画を受け入れ、新たな展開を目指すものです。

切り離される立場におかれたらどうなるのか

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カーブアウトできる事業は、大企業の中にさまざま存在しています。潤沢な資金力を背景に、多くの大企業がさまざまな新規事業に取り組んできました。業績が順調な時期に多くの新規事業が立ち上がる傾向があるので、最近であれば、リーマンショック前の2005年前後に新規事業がたくさん生まれました。それが会社を支える基盤になっているケースもあれば、すでに撤退して跡形もないという場合もあります。

そして、中には微妙な売り上げと収益で、中途半端な状態に陥っている事業もあります。赤字ではないが、将来的な成長が大きくは見込めない。さらに会社のドメインから考えるとノンコアと位置づけられる事業。

こうした事業がカーブアウトの格好の対象になるようになってきました。以前であれば、大企業の中で「可もなく不可もなく」と、放置されるケースが多くありました。事業を立ち上げた当事者の社内的な影響力が大きいとか、カーブアウトに対する反対勢力を懸念して見て見ぬふりのままになっていたのです。ところが、それが許されない状況になりました。ガバナンスコードの影響もあって株主などから「切り出すべき」とも指摘されるようになり、カーブアウトが検討されるようになりました。

カーブアウトされると決まれば、切り離された職場の社員たちの仕事環境は大きく変わります。では、みなさんが切り離される立場におかれたらどうなるのか? どのように立ち振る舞えばいいのか? 今回は一緒に考えてみたいと思います。

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