マツダ、「200万台メーカー」への険しい道のり SUVが絶好調でも、米国の販売改革待ったなし
2023年度に世界販売200万台を目指す――。マツダは4月27日、2017年度決算と併せて、中長期の経営計画の骨子を発表した。今後5年かけて販売台数を2割以上引き上げる。リーマンショック後に4期連続の最終赤字を喫し、奇跡的な復活劇を遂げたニッチメーカーが、本格的な成長路線に舵を切り始めた。
2017年度の本決算は、売上高3兆4740億円(前年比8%増)、営業利益1464億円(同16.5%増)とほぼ計画どおりで、主に為替の円安効果により増収増益となった。世界販売台数も163万台(同5%増)と、計画していた目標台数を3万台上回り、上々の仕上がりとなった。
米国は販売改革道半ば
インセンティブ(販売奨励金)がかさんで収益性が悪化していた北米はどうなったのか。2017年度は第3四半期まで(2017年4~12月期)は販売台数が前期比3%減、営業利益が同37%減だったが、期末決算では販売台数・営業利益ともに前期比1%増と、ほぼ横ばいに立て直した。米国の年間販売台数は30万4000台と前年比1%増で着地。昨年初めて刷新した売れ筋のSUV(スポーツ用多目的車)「CX-5」の生産が10月から山口県の防府工場でも始まり、米国の高い需要に対応できるようになったことが奏功した。
米国の全体需要がピークアウトした中では健闘したと言えるが、決算会見で小飼雅道社長が述べたのは反省の弁だ。「米国市場の収益が低下してしまった。SUVの強化が遅かったことが失敗だった」。今でこそ、「CX-5」や「CX-9」が米国では人気だが、マツダは日系他社に比べて、SUVラインナップの拡充が遅れ、インセンティブを積み増すタイミングでも後れを取ってしまった過去がある。
米国は収益性の高い大型車種が売れるため、マツダにとっても最重要市場だ。「SKYACTIV技術」や「魂動デザイン」の導入で商品性を高めた、2012年発売の初代CX-5以降、新車を極力値引きせずに「商品性」の高さで売ろうと取り組んできた。2016年1月には北米統括会社に、約20年ぶりの日本人トップとして毛籠勝弘専務執行役員を送り込み、改革を本格化させている。ただ、米国市場の競争激化もあり、改革の成果がなかなか見えないじれったさを抱えていたのも事実だ。
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