マツダ、「200万台メーカー」への険しい道のり SUVが絶好調でも、米国の販売改革待ったなし
今2018年度の業績予想には、米国事業テコ入れに向けたマツダの強い意志が表われている。営業利益は1050億円と前期比28%減、営業利益率は3%を割る水準を見込む(2017年度は4.2%)。販売台数増や原価低減による利益押し上げ分220億円が、為替を円高に設定したことで打ち消され、開発費用も重たい。
だが、ひるむことなく米国の販売店投資に約100億円の費用を振り向ける。マツダは「SKYACTIV第2世代」と呼ばれる次世代商品の投入を2019年度から始める。商品のモデルチェンジは、インセンティブを抑制し、収益性を向上させるベストチャンスともいえ、米国の販売改革をできるだけ進めておきたいという事情がある。

決算会見の場で、小飼社長は、新たなブランドコンセプトに基づいてリニューアルした現在40店舗ある「次世代ブランド店舗」を、2021年までに300店舗に増やすために、4年で400億円を投資する方針を明確にした。不採算店舗は閉鎖したうえで、収益性の高い地域に次世代ブランド店舗を集中的に展開する。メーカーから販売店への奨励金には、顧客満足度やマツダブランドの訴求に特化した評価基準を採用。高い評価を得た販売店が奨励金を多く得られる制度とすることで、販売力の底上げを狙う。
米国の成長が200万台達成のカギ
こうした取り組みを通じて、マツダ車を再度購入する消費者の割合を2017年度の41%から業界平均レベルの55%に、1店当たりの年間販売台数を現在の約2倍の1000台にまで高める。米国全体では2020年度に今よりも10万台多い40万台の販売を目指す。米国事業が牽引する形で、2023年度の世界販売200万台を達成したい考えだ。
ただ、現在の生産能力180万台を200万台分の販売に対応させるには、2021年に米国アラバマ州で稼働する新工場の生産能力15万台分を加えるだけでは、5万台分足りない。マツダでは、従来の設備の稼働率を上げて、需給に合わせて柔軟に対応するという。

そのための方策の1つとして、まず、小型SUV「CX-3」や、CX-5を生産する防府第2工場を今年8月から9年8カ月ぶりに2直(1日2交代)化する。防府工場の生産能力41万6000台自体は変わらないが、生産車種の柔軟性を高めることが狙いだ。防府工場では、「アクセラ」などのセダンも生産するが、2直化が実現すれば、需要の変動による車種ごとの生産台数をより柔軟に変えられ、結果として稼働率の引き上げも可能になる。
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