大量失業者を生むAIに負ける人と勝つ人の差 「教科書がちゃんと読める」子どもを育てよう
AIは人間の創造性豊かな活動に利用する道具として社会に組み込みながら、人間はAIが持たない力をより高めていくことが重要になる。あらゆる業界でいっそうのデジタル化が進み、求められる人材の質が大きく変化するこれからの時代、教育業界も変革への意識を強く持ち始めている。
「なぜ?」と問い、筋道を立てて説明する力が必要
長年、日本の教育政策に携わってきた文部科学大臣補佐官の鈴木寛氏は、「20世紀型の教育の延長線上では、AIの時代に大量の失業者を生む」と警鐘を鳴らす。また現代文講師の出口汪氏は、「記憶も計算もAIが担う時代、知識の習得だけに労力を割いてはいけない。『なぜ?』と問いながら、筋道を立てて説明する力が基礎学力となる」と言う。
そうした中で波紋を広げているのは、国立情報学研究所教授の新井紀子氏が、全国2万5000人を対象に実施した「基礎的読解力調査」の結果だ。たとえば、学力が中位の高校でも、半数以上が文章の内容を理解する読解の問題が解けなかった。
日本の子どもたちは、英単語や歴史の年号、数学の公式といった暗記すべき知識は豊富だが、文章を精読し、自分の考えを深められるだけの読む力はきちんと身に着けていないという実態が明らかになった。
今回の特集の中で新井氏は、読解力が人材育成の基礎になると強調し、「文や言葉の定義がきちんと理解できないと、新しい語彙を正確に獲得できないので、どんなに積み上げようとしても、積み上がっていかない」と語っている。
特集で子どもたちが習得すべき能力としてスポットを当てたのは以下の3つだ。
①読解力…教科書レベルの文章や説明書などの意味を正しく理解する力
②論理力…自分の考えや意思を相手に明確に伝え、説得や議論ができる力
③数学力…問題を設定し、試行錯誤しながら数字を使って分析的に解く力
いずれの力もAIが習得することが難しいものであり、子どもたちが幼少期から身に着けるべくトレーニングを積むことが望ましい力だ。AI時代に勝つ子、負ける子の境界線は、機械にはできない人間ならではの能力をつける基礎固めをどれだけ実践できるかで変わってくるのかもしれない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら