化学メーカーが植物工場に次々参入する理由

技術・ノウハウで儲かる事業への転換図る

また、植物工場で栽培された野菜と通常栽培された野菜が並んでいた場合、どの程度の価格差ならば植物工場野菜を購入するのか聞いたところ、「ほぼ同じ価格でも購入する(36.9%)」、「多少高くても購入する(5.0%)」、「かなり高くても購入する(0.8%)」の合計が42.7%。消費者は工場野菜の安全性が高いことを評価しているようだ。2009年の調査ではこの割合が31.2%にすぎなかった。

植物工場の8割が経営に課題を抱える

一方、植物工場を運営するうえでの課題も多い。まず工場建設のための費用が高い。細菌や害虫の侵入を防ぐためには半導体製造のクリーンルーム並みの設備が必要だ。さらに電気代がかさむため、ランニングコストも負担になる。

日本施設園芸協会の調査では植物工場のうち58%が赤字で、収支均衡が25%。83%の工場が経営に課題を抱えていることになる。特に2010年以降に栽培を開始した工場の赤字率が高い傾向がある。工場建屋や各種設備などの償却負担が重いことが原因だ。

経営コンサルティング会社のフロンティア・マネジメントが経済産業省向けにまとめたリポートによれば、大田市場における通常栽培のグリーンリーフ(レタスの一種)の年間平均取引価格が300~400円のところ、レタス類の1キログラム当たりの工場生産コストは1135円に上る。

植物工場と通常栽培は歩留まり率が違うので、簡単に比較することはできないが、昭和電工で植物工場栽培を担当する鈴木廣志・グリーンイノベーションプロジェクトシニアマネージャーは「通常栽培の1.8倍から2倍の価格ならば妥当」と言う。つまり、レタス類なら生産コストが1000円を割らないとビジネスにならないのだ。

そうした中で、いかに採算の取れるビジネスにするか。そこで生かされるのが、これまで化学メーカー各社が蓄積した技術や知恵になる。

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