不漁とは無縁!本格始動する魚の「陸上養殖」 魚は捕る時代から陸上で「作る」時代へ
2017年は秋サケやサンマなどが記録的な不漁だった。北海道の秋サケ、サンマとも水揚げ量は前年比約3割減の水準。一部で価格が高騰し、冬の食卓を直撃した。
不漁は今年だけのことではない。日本の漁業・養殖業生産量は減り続けており、ピークだった1984年(1282万トン)と比べ3分の1近くまで減っている。日本は水産大国のイメージがあるが、実は魚不足が常態化しているのだ。
FAO(国連食糧農業機関)の統計によると世界の食用魚介類の1人当たり消費量は、最近50年間で約2倍に増加している。中国では同期間に約8倍、インドネシアでは約3倍になるなど新興国での伸びが目立つ。世界人口の増加に合わせて、日本のみならず世界で魚介類不足が進む。
広がる「魚の工場生産」
ならば養殖でとなりそうだが、海での養殖は自然災害に見舞われたり、海洋汚染によって被害を受けたりする場合がある。沖合での養殖はコストもかかる。そこで期待されるのが、「陸上養殖」。水質や水温、エサなどを完全にコントロールした屋内の水槽で魚介類を育てる。養殖というよりも「魚の工場生産」と呼んだほうが適切だろう。
総合バルブメーカーで国内首位のキッツ(千葉県千葉市)。特にビル・住宅設備やエネルギー・化学プラント向けのバルブに強みを持つ。2018年3月期は2ケタの営業増益が予想されるなど業績は絶好調だ。
そんな同社は2012年、バルブ製品で培った水処理技術を生かして陸上養殖に乗り出した。2015年には長野県茅野市に陸上養殖プラントを設置し、マダイやマハタの長期飼育の技術を確立した。
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