新潟長岡「データセンター」が注目される事情 老朽化が深刻な業界の現状を打破できるか
IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などの進化によって、データセンター(DC)の需要が急増している。IT専門調査会社IDCによれば、国内DC市場は2016年から年平均8.1%成長し、2021年には1兆6230億円に達する見込みだ。
ところが、企業のニーズと既存DCのスペックには大きなギャップがある。国内DCの老朽化と低電力仕様が深刻な問題なのだ。
富士キメラ総研の調査によると国内DCのうち稼働20年以上が51%、10年以上20年未満が19%となっている。古いDCは1ラック当たりの利用可能電力が少ない。国内DCの65%は1ラック当たりの利用可能電力量が2kVA(キロボルトアンペア)以下で、6kVAを超えるDCは全DCのわずか5%。大きなデータを扱うサーバーは12kVA以上の電力が必要なので、国内には高スペックのサーバーを置けるDCが極めて少ない。
床耐荷重も問題だ。高性能のサーバーは重量が1平方メートル当たり2トン以上あり、古いDCの床はその重さに耐えられない。この点からも、高スペックのサーバーを置けるDCが極めて少ないということになる。ビッグデータ時代において日本のDCは極めてお寒い状況にあると言わざるをえない。
業界最高水準のスペック
2016年に設立されたデータドック。同社は1月、本社のある新潟県長岡市に新しいDCを開設した。
第1期棟は2階建てで延べ床面積が5400平方メートル。サーバーを収納するラックを500台設置できる。最大提供電力は1ラック当たり30kVA、1平方メートル当たりの床耐荷重は3トンと、業界最高水準レベルにある。
このDCの優位性は設備面だけではない。最大のポイントは、長岡市という「地の利」にある。
DCの設置は、地代などを考えると、地方が現実的な選択肢になる。さらに、セキュリティ面からも地方が望ましい。現在、国内DCのうち63%が首都圏に集中している。30年以内に首都直下型地震が起こる確率が70%であることを考慮すれば、地方への分散化は喫緊の課題だ。
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