エアレース王者、45歳室屋が挑む千葉3連覇 次の千葉大会に向け、カンヌ戦で得た収穫

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「レッドブル・エアレース千葉2018」は千葉県立幕張海浜公園で5月26日(土)に予選、27日(日)に決勝が行われる。室屋は千葉戦を楽しみにしている日本のファンに向けて、次のように熱く語った。

「チームは良い状態で進んでいますので、今後さらに成熟させたいと思います。年間王者となるには、最低あと2戦の勝利が必要になります。切り替えて千葉に向けていきます。エアレースを目にするせっかくのチャンスです。生で見るのはTVで見るのと全く違いますので、是非会場に足を運んでいただいて楽しんでもらえたらと思います」

千葉大会3連覇の期待もかかるレース

今回は室屋が世界王者として母国に凱旋するレースであり、大会3連覇も期待されている。室屋はこれまで以上に注目を浴びて、予想をはるかに上回るプレッシャーを感じることになるかもしれない。

だが、白石豊氏から学び続けるメンタルトレーニングや、チーム力と操縦技術の向上により、今の室屋には自信で満たされている。今後はシーズン前にあったような自分自身を見失いそうになることもなく、フライトに対して何の迷いもなく挑み続けるだろう。

室屋がパイロットになったのは、人気ロボットアニメ「機動戦士ガンダム」のアムロ・レイに憧れたことがきっかけだ。彼のパイロット人生は、苦難の連続であった。

パイロットとしての基礎を叩き込んでくれた師匠の死、目指すものを見失いパイロット人生を投げ捨てようともした。3000万円以上もの借金をして初めて購入した飛行機。エアレースの休止期間により活動をどうするか決めあぐねていた時に福島で経験した東日本大震災。

室屋はどのような困難に陥ろうとも、決して諦めることはなかった。強い精神力により、これまで続けてこられたことは言うまでもない。

だが、それだけではない。室屋を支え続ける家族、福島や全国にいる多くのファン、昔からの仲間、スポンサー、恩師など、これまで室屋とかかわってきた数えきれない人々の想いが室屋の心奥深く刻み込まれ、揺るぎなく強い信念を作り上げてもいるのだ。

2015年に初開催した千葉は今年で4年目を迎える。これまでの3年間で延べ30万人以上が来場している(筆者撮影)

今では室屋に憧れてパイロットを目指す若者たちも増え始めている。

室屋は、パイロットとしてだけではなく、日本の航空文化を担う一人の人間にもなっている。

室屋への期待は日に日に大きくなっていて、それを誰よりも感じ取っているのが室屋本人のはず。

千葉戦では室屋が持つ力を最大限に発揮するだろうが、レッドブル・エアレースには、室屋以外にも世界屈指のパイロットが13人もいる。開幕戦を制したグーリアン、第2戦を勝ち取ったマット・ホールなど、室屋としのぎを削り合う者たちばかりだ。

その他のライバルたちも室屋に負けじとバージョンアップしてくるだろう。年間王者となるためには、「つねに進化し続けなければならない」と室屋は強く感じている。

彼等の勇姿を、ぜひ会場で目にして欲しい。

(文中一部敬称略)

佐久間 秀実 スポーツライター

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さくま ひでみ / Hidemi Sakuma

1976年生まれ。楽しさ・喜び・感動を伝えたい‼︎トップアスリートや著名人に単独インタビュー。国や企業についても執筆。趣味はランニング、サッカー、卓球等のスポーツ。浦和レッズユース第1期生。琵琶湖を徒歩1周(3日)。プロフィール写真は、龍馬の生まれたまち記念館(高知県)で撮影。

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