エアレース王者、45歳室屋が挑む千葉3連覇 次の千葉大会に向け、カンヌ戦で得た収穫

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予選終了時に取材に答える室屋選手(筆者撮影)

「カンヌは機体の性能差を出しにくいコースですね。高速になることができれば差が出るのですが」と、直線距離が短いコースのためにスピードを出しにくく、「フライトしやすい」とはいえるが、室屋は勝つことが「容易ではない」とも語った。

決勝では予選のタイム順位をもとに14名のパイロットがトーナメント形式でタイムレースを行う。1対1で対決するラウンド・オブ・14とラウンド・オブ・8の2つの対決を制すればファイナル4に進出し、上位4名でタイムレースを行う仕組みだ。

驚異的な強さをみせる

「ラウンド・オブ・14、8、ファイナル4とつねにトップを狙っていって勝ちたいですね」と予選開始前から宣言していた室屋は、決勝に入ってからも積極的なフライトを展開した。

最初のラウンド・オブ・14では、ピート・マクロードと対戦した。先に飛んだピートは、果敢に攻めて58秒212を記録した。だが、室屋には何の問題もなかったようで、ラウンド・オブ・14で3位のタイムでラウンド・オブ・8へ進出した。

次の相手は、開催地フランス出身のミカ・ブラジョー。この戦いでの室屋は、あまりにも強すぎた。カンヌ大会で自身の最速となる57秒374を叩き出し、ブラジョー相手に1秒以上の差をつけて快勝したのだ。結果的には決勝ラウンド最速タイムとなった室屋を、「優勝にいちばん近いパイロットである」と、誰もが考えるほどとなった。

ラウンド・オブ・8で最速タイムを叩き出した室屋のフライト(筆者撮影)

ファイナル4に進出したのは、室屋以外に次の3名となった。

マット・ホール (オーストラリア)
マティアス・ドルダラー (ドイツ)
マイケル・グーリアン (アメリカ)

ラウンド・オブ・8で圧倒的な強さを見せつけた室屋のフライトは、他のパイロットたちへのプレッシャーとなったはず。最適な飛行ラインを把握し、ベストタイムを記録した室屋が勝つであろうという雰囲気も漂った。

1番目に飛んだ室屋は、自身のフライトを次のように振り返った。

「ベストラインを飛ぶことができました。前半は結構いいペースで飛んでいたと思うんですけど、最後に風が吹いてきたので、パイロンに当たりそうになって、ギリギリでかわしました。それで0.7秒くらい遅れましたね」

スタートから安定したフライトを続けていた室屋であった。だが、ゲート8を通過する直前に、横風が機体に向かって吹き込んでしまい、通過ラインから外れてパイロンにぶつかりそうになってしまったのだ。

室屋は咄嗟の判断でペナルティとなるパイロンヒットを回避することができたのだが、機体は10度以上傾いたままエアゲートを通過してしまった。そのため2秒のペナルティタイムが加算されてしまったのだ。

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