エアレース王者、45歳室屋が挑む千葉3連覇 次の千葉大会に向け、カンヌ戦で得た収穫

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室屋のチームファルケンのメンバーが機体のセットアップを行っている(筆者撮影)

「機体の改良がうまく進み、フライトテクニックも向上したので、今までにない良い開幕となりました」

アブダビ戦に過去6回出場した室屋の最高成績は6位、2017年にはオーバーG(規定の重力を超過することで失格行為)で敗退していた。アブダビは、決して相性が良いとは言えないコースだった。

機体の大幅改良と非常に安定したフライトにより、開幕戦で2位になった。レースごとに上位に食い込んで確実にポイントを積み重ねながら2年連続の王者となることを考えれば、上々の滑り出しを切った(アブダビ戦での動画はこちらを参照。ファイナル4の室屋選手のフライトは49分頃から)

フランス初開催の第2戦は観光都市カンヌで

綺麗に澄んだ海に続く長いビーチが観戦会場となり、集まった何万もの観衆の中にはレース前に水着となって日光浴を楽しんでいたり、木陰でのんびりしながらレースを観戦している人もいた。またカンヌは、「おしゃれな熱海みたい」と室屋が言うように、セレブが集まる高級リゾート地で、レース会場すぐ近くにはカンヌ国際映画祭のメイン会場ともなる「パレ・デ・フェスティバル」もある。

フランスは航空文化先端の地であるが、安全面の基準をクリアするまで開催ができていなかった。 念願のフランス初開催がカンヌの地となった(筆者撮影)

カンヌ大会のレーストラックは、カンヌのビーチに沿うかのように全体的に丸みを帯びた直線が少ないコース設計となっていた。気温は20度ほどで風もなく、何名かのパイロットによると「フライト自体は行いやすい」とのことであった。

室屋は予選1回目のフライトでは、全体でトップとなるタイムを叩き出した。だが、ペナルティを受け2秒加算されてタイムは59秒103となった。

「(1回目で)ベストタイムを出せるのがわかったので、2回目のときは確実なタイムを出しに行きました。仕上がりは良いと思います」と、2回目では低速して安全なフライトを行うも、ほぼ計算どおりとなるタイム57秒456を出して、予選を6位でフィニッシュした。

初戦のアブダビを制したマイケル・グーリアン(米国)が好調を維持し、予選でもトップタイムを記録した。全パイロットが機体を改良させてフライトのレベルも上げているので、決勝でいったい誰が勝つのかわからなくなってきた。1位から6位の室屋までが0.383秒差に入るという大混戦状態だ。簡単なコースであるがゆえに、難しい。それがカンヌの印象だった。

4月21日の予選終了時の室屋選手(写真:Daniel Grund/Red Bull Content Pool)
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