「暗闇フィットネス」なぜここまで人気なのか 「クラブ」代わりに通う音楽好きが続出

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2016年に開催されたイベント「LUSTER」の様子(写真:フィールコネクション)

「FEELCYCLE LIVE LUSTER」と呼ばれるフェスイベントには、4000人の参加者が集まる。イベントのチケット料金は1万2800円。また会員の会費は月に1万2900円~1万8000円(店舗によって異なる)となかなかの価格なのだが、多くの人が、価値を認めて集まっているということだ。

フィールサイクルの概要を簡単に説明すると、暗闇のなか、最先端の音楽にのってひたすらフィットネスバイクのペダルをこぐというもの。インストラクターがペダルの回転数や負荷、立ちこぎや、上半身の動きも含めた運動内容を指示する。バイクで主に使う足の筋肉は体のなかでも大きな部分を占めるため、動かすことで大きなカロリーを消費する。フィールサイクルでは、45分のレッスンで約800kcal消費をうたっている。また、レッスン内容によっては、さまざまな動きを組み合わせることでほかの筋肉も鍛えられ、体が引き締まるとされる。

人気の理由は「音楽へのこだわり」

そして「ただひたすらこぐだけ」というシンプルな運動を、魅力あるレッスンにしているのが、音楽へのこだわりだ。ヒップホップ、ソウル、ロック、レゲエといったクラブミュージックが中心。45分のレッスン中、バイクをこぐ速度をさまざまに変えて体を動かしていくため、音楽も都度動きにふさわしいものをいくつか組み合わせて構成している。

「アーティストを大事にしており、レッスンのなかでの音楽の構成についてもレーベルと話しながら行います。たとえば、アーティストの希望により、1つのアルバムだけを使ってレッスンを構成するということもあります」(武田氏)

アーティストやレーベルにとっても、アルバムなどの宣伝にもなるというメリットがある。いわゆるwin-winの関係で、海外有名DJが来日時、レッスンに参加してくれたこともあるそうだ。

「ZEDDという、洋楽好きなら知らない人はいないというほどのDJです。参加者にとっては、まさにサプライズで、まったく予想していなかったところに突然現れたので、驚きでもあり、非常にラッキーだったと思います」(武田氏)

音楽がフィールサイクルのブランド価値になっていることを示すのが、アップルの音楽配信サービスApple Musicへのキュレーターとしての参加だ。レッスンで提供しているプログラムのプレイリストを同サービスで公開しており、サービスを利用している人なら、誰もがダウンロードして聴くことができる。

「若い頃クラブに行っていた人が、クラブの代わりに通ってくださっている例もあります。このように洋楽好きな人はもちろんですが、まったく聴いたことがなかったけど、フィールサイクルを通じて好きになったという人もいます。今、若い世代はかえって洋楽を知らないので、価値を伝える意義もあると感じています」(武田氏)

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