タクシーのドアが自動開閉の不思議
ドアの持ち手が引っこ抜けてしまうタクシーは論外として、日本のタクシーには逆の意味でびっくりさせられます。何せ、乗ろうとしてドアに手をかける前に、ドアのほうが自動で勝手に開いてしまうのですから。日本人にとっては当たり前のこのメカニズム、海外ではどこにも見当たりません。ドイツのような先進国でメルセデスEクラスのタクシーに乗るときでも、タクシーのドアは客が自分で開け閉めするのが当たり前です。
世界広しといえども、タクシーのドアが自動開閉するのは、香港とマカオの一部を除けば日本だけです。調べてみると、車のドアの自動開閉装置は1950年代に日本で開発され、1964年の東京オリンピックの前に外国からのお客様へのおもてなしとして東京のタクシーに装着されて、一気に広まったそうです。
年間800万人以上の外国人が日本を訪れていますから、日本のタクシーの自動ドアに感銘を受けて自国に紹介している外国人は大勢いるはずですが、いまだグローバルスタンダードとはなっていません。「タクシーのドアくらい自分で開け閉めすればいいじゃないか」というのが世界の感覚のようです。
炊飯器は万能調理器具?
中国人が普通に暮らしているアパートには、リビングルーム、ベッドルーム、バスルームで完結していて、キッチンがない物件があります。ガスコンロも流し台もついていませんから、住人が自宅で料理をしない前提で作られているわけです。そんな部屋で調理しようと思えば、電子レンジでチンするしかありませんが、ちょっと前はよく炊飯器が簡易調理器として使われていました。私自身、中国人が炊飯器の加熱機能を使って、スープを作り、米と一緒に肉や野菜を調理しているのを見てビックリし、炊飯器にこんなクリエーティブな使い方があるのだと感心しました。
最近知ったのは、日本でも炊飯器を簡易圧力鍋として、さまざまなレシピの料理に使われているということです。元来、家電メーカーは「炊飯器=ご飯を炊く道具」として開発したわけですが、固定観念を捨てて異なる用途に使った結果、製品に新たな価値がついたケースです。ただ、ひとつの炊飯器で時にはご飯を炊き、時には料理も作るという、「風味のごちゃ混ぜ感」がしっくりこない人も多いのではないかと思います。日本人には、ご飯はご飯専用の器具で炊き、おかずはご飯と別に鍋やフライパンで作りたいという「仕分け志向」のようなものが存在する気がしますが、グローバルに生きる人々は、そこまで繊細ではないようです。
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